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ガレキ撤去、50キロ先にもセシウム飛散か

2014年7月16日 21:55
ガレキ撤去、50キロ先にもセシウム飛散か

 東京電力・福島第一原発で去年8月に行ったガレキ撤去作業で、放射性物質が原発から50キロ先まで飛散していた可能性が高まった。

 調査したのは京都大学大学院の小泉昭夫教授の研究グループ。福島県の南相馬市や相馬市で大気中に含まれる放射性セシウムの濃度を調べている。その結果、去年8月15日から22日に行った調査で原発から20キロ以上離れた福島・南相馬市原町区では通常の約30倍、さらに北西で原発から約50キロ離れた福島・相馬市玉野地区では通常の6倍の放射性セシウムが大気中から検出されたという。

 これは当時、第一原発3号機で行われたガレキ撤去作業が原因として考えられることが県や国の調査で明らかになっている。また、飛散した放射性セシウムが南相馬市で栽培されたコメの一部に付着し、その影響で食品の基準値を超えた可能性があることも指摘されている。

 さらに、福島大学の調査では、原発から60キロ先の宮城県にも放射性物質が飛散していたことも明らかになっている。

 福島大学・渡辺明特任教授「(宮城県)丸森町や福島大学でも観測しているのですが、8月19日を含む観測日の中には100倍程度、大気中濃度が高くなっている」

 記者「事故から3年以上過ぎても、作業によって粉じんというのは飛散する可能性がある?」

 渡辺特任教授「もちろんあります。観測をずっと続けていますが、現在でも実は降下量っていうんですけど、いまでもずっと(原発の)事故現場から、大気中にあった放射性物質が降ってくる現象が起こる」

 渡辺特任教授は、今後予定されている第一原発の廃炉作業にも注意が必要と話す。

 渡辺特任教授「1号機カバーを外すと1000倍くらいになるという話もあります。(放射性物質が)飛散しながら廃炉作業が進んでいくんだろうと思う」「健康に影響があるかないかという点では(東電は)『問題はない』と思ってるかもしれないが、我々住民からすれば、1ベクレルでも排出されては困るという感覚がありますので、注意をして作業してほしい」

 一方、京都大学の小泉教授らは「今回の値では人体に取り込んでも健康に影響はない」とした上で、「原発構内から飛散した可能性は高く、今後は、ストロンチウムやプルトニウムが含まれているかも調査する必要がある」と話している。