ロシアからウクライナへの天然ガスの供給をめぐりロシア政府は３日、ウクライナが料金の滞納を続けた場合、来月分から前払いを求めることを明らかにした。ウクライナ側が前払いできなかった場合、天然ガスの供給が止まる可能性もある。

　ロシアのメディアによると、ノバク・エネルギー相は３日、記者団に対し、ウクライナへの天然ガスの供給について、４月分の料金の支払いが今月７日までになかった場合、来月分から前払い制とする方針を明らかにした。その上で、「天然ガスの供給を制限している訳ではない」と述べ、ウクライナ情勢にからんで供給制限を行う意向ではないことを強調した。

　石油天然ガス・金属鉱物資源機構によると、ウクライナは天然ガス消費量の６０％をロシアからの輸入に頼っているが、去年分の一部と今年分のすべての料金を支払っていない。未払い料金は４月末現在で約３５００億円にのぼっており、ただちに弁済することは困難とみられ、天然ガスの供給が止まる可能性もある。

　ロシアのプーチン大統領は先月、ヨーロッパ各国の首脳に宛てた書簡で、ウクライナへの天然ガスの供給が停止した場合、パイプラインで送られるヨーロッパ向けの天然ガスをウクライナが抜き取り、供給に支障が出るおそれを示唆している。

　ウクライナ情勢をめぐりロシアへの制裁を強めるアメリカとヨーロッパの間に、天然ガスの供給問題をてこに、くさびを打ち込む狙いがあるものとみられる。