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論文に「複数の不適切箇所」理研が中間報告

2014年3月14日 19:50
論文に「複数の不適切箇所」理研が中間報告

 「夢の万能細胞」STAP細胞は本当に存在するのか。理化学研究所(理研)の小保方晴子さんらが発表した論文に多くの疑問点が指摘されるなか、理研は14日、論文の検証の中間報告の会見を行った。理研は、論文に画像の切り貼りや、他人の論文の無断引用など不適切な箇所が複数見つかったと明らかにした。

 会見では論文の問題点の調査結果が発表された。研究で作製された細胞がSTAP細胞であることを証明する画像をよく見ると、縦に線が2本入り、その間の背景の色が違うという問題では、「小保方さんが画像の切り貼りをしたという説明をされました」と説明。

 STAP細胞の研究手順を示した文章が2005年に書かれた海外の研究者の論文と12行にわたって酷似している問題では、「コピーであることが間違いないと調査委員会は確認しています」とした。一方、小保方さんは調査に対し、この部分は自分の文章としながらも、「どこから取ってきたのかよく覚えていない」と話しているという。

 特に大きな問題とされた、万能細胞の証明であり、研究の核心部分とされる写真については、「我々が見る限り(博士論文と)同じものであるということが分かりました」と報告。小保方さんは3年前に執筆した博士論文の違う実験で得られた写真を取り違えた、と話したという。

 14日の中間報告は、これらの点について研究不正が行われたかどうか判断するため、継続して調査するとした。

 NNNの取材に対し、理研の発生・再生科学総合研究センター・竹市雅俊センター長は、「僕は論文として体をなさないと判断して撤回すべきと著者にすすめた」と話した。

 一方、研究倫理の問題に詳しい東大医科学研究所・上昌広特任教授は、この調査結果に、次のように話した。

 「普通の研究者が、普通に聞いて、現段階で、改ざんであると結論してもおかしくないと思います。今回の会見を聞いた多くの人は、STAP細胞の存在を、きわめて懐疑的に見るようになったと思います。最終的に、世界のどこかで再現される可能性はゼロではないが、現時点では少なくとも、理研の論文をベースに(STAP細胞の存在を)信じる人はいないんじゃないでしょうか」

 上昌氏はその上で、今すぐにでも小保方さんらが会見すべきだと話す。

 「(小保方さんら)科学者が社会に説明するべきです。口裏合わせしているとか、隠ぺいしているんじゃないかとか、理研にとってあらぬ疑いをかけられるリスクの方があると思います」

 14日の会見ではまた、小保方さんについての質問が相次いだ。

 理研・川合真紀理事「(小保方さんは)未熟であったことに関しては、非常に反省の言葉を発していると伺っています」

 理研 発生・再生科学総合研究センター・竹市センター長「(Q:研究を普通にしているという理解でいいのか)いえ、現在はこういう状態なので研究は止めています」

 調査委員会・石井俊輔委員長「今週はじめから小保方さんの精神状態があまり良くない。この件でのヒアリングは終了していません」

 STAP細胞は存在するのかとの質問に竹市センター長は「それについては、第三者による検証によってそれを待つしか科学的な答えはないと考えております。(論文の)著者はそれが正しかったと思っていると思う」

 論文の執筆者で、理研内部の研究者である小保方氏・笹井氏・丹羽氏3人は、論文の取り下げにすでに同意する意向を示しているという。

 会見では、論文の執筆者である小保方さんらのコメントも発表された。

 「混乱をもたらしていることについて心よりおわび申し上げます。論文を取り下げる可能性についても共著者と連絡を取り検討しております。適切な時期に改めて説明する機会を設け、誠意をもって対応してまいります」