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領海広がる?地図変わる?“新島”出現

2013年11月21日 20:23

 20日に約40年ぶりに噴火した東京・小笠原諸島の西之島付近に新たに出現した島の様子を21日午前、日本テレビのカメラが撮影した。噴煙を上げ、何度も噴火している様子を捉えている。

 噴火から一夜明けた21日、記者たちは、新たな島が確認された西之島周辺の上空へ向かった。上空で撮影を続けていると…

 (噴火の瞬間・午前10時半ごろ)記者「いま、大きな噴火が起きました。白い水蒸気の中に、黒や灰色の噴煙が上がりました」

 激しく吹き上がる噴煙。黒い煙とともに岩石が海に落ちていく様子が捉えられている。周辺の海水は変色し、噴煙は約1000メートルにまで達しているとみられている。

 東京から約1000キロ南にある小笠原諸島の父島の西側約130キロの場所に無人島の西之島がある。新たな島が出現したのは、西之島から南南東約500メートルの場所だ。この島は20日午後4時20分ごろに海上保安庁が発見したもので、直径は200メートルほど。20日も黒い噴煙が上がる様子が何度も確認されていた。21日も活発な火山活動を続ける島は、20日と比べると島全体が広がり、より高くなっている。

 実はこの地域は、伊豆・小笠原諸島から富士山につながる火山帯の一つで、約40年前にも西之島付近では火山活動が確認されていた。

 通常、海底で火山が噴火するとマグマが吹き出し溶岩が冷えて固まる。それが繰り返されることによって溶岩が徐々に堆積し、島が形成される。今回は、どのように島が出現したのだろうか。

 産業技術総合研究所・火山活動研究グループの石塚吉浩理学博士は「西之島全体が一つの大きな火山ですので、その山頂部分の一部から噴火した、そういう形の噴火だと思う。マグマが水と接触して爆発的に噴火を起こして、それが飛散する。それが少しずつたまって、少しずつ大きくなっていく」と話す。

 今回の島の出現について、日本政府は…

 菅官房長官「領海が広がればいいなと思います。この島がきちんとした島になってもらえれば、我が国の領海が広がるわけですから」

 Word「領海」(原則、沿岸から約22キロの海域で、その国の主権がおよぶ海域。その国の法律が適用され、権利を行使することができる海域)

 東海大学・海洋学部の山田吉彦教授「隣接する島と近いということがあって、領海および排他的経済水域が大きく拡大していくとは考えにくい。広い意味で考えると、誤差の範囲に近くなります」

 そもそも国際条約上の「島」とは、自然に形成され、周囲を海で囲まれた陸地のこと。また、大潮の日の満潮時、最も海面が高くなった状態でも陸地が出ていることが条件だという。ただ、今回の島について、石塚氏は「海の波浪が強いので、こういうところでは、島ができたら削られるのは必然性」と話す。

 一方で、海上保安庁とともに現地を視察した東京工業大学・野上教授は「島の成長速度がすごく早い。爆発のインターバルがきのうよりも短い。島としては、かなり高い確率で残るのでは」と話す。

 活発な火山活動は今後もしばらく続くとみられており、海上保安庁などは引き続き、警戒を呼びかけている。