菅首相「脱・原発依存は個人的な考え」
菅首相は15日朝の閣僚懇談会で、13日の会見で将来的に原発に依存しない社会を実現する考えを表明したことについて、政府の方針ではないとの考えを閣僚に説明した。
閣僚懇談会では、菅首相が表明した将来的な脱・原発依存の方針について、一部の閣僚から、内閣としての方針なのか、菅首相自身の思いなのかと真意をただす声が上がり、菅首相は「個人的な考えを述べたものだ」と説明した。
また、菅首相は、11年度第2次補正予算案の趣旨説明と、これに対する質疑が行われた衆議院本会議でも「私自身の考え方として、私としては、これからの日本の原子力政策として、原発に依存しない社会を目指すべきと考えるに至ったと。つまり、計画的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもきちんとやっていける社会を実現していく、と私の考え方を申し上げたところだ」と述べた。
これに対する閣僚の反応は以下の通り。
海江田経産相「菅首相が『これは自分の考えだ。私の考えだ』ということなので、そうした首相の個人の考え方が披瀝(ひれき)されたものだと」
野田財務相「政府の基本方針ということではなくて、個人として整理をされて考えを示されたということ」
菅首相が行った脱・原発依存の方針表明が、政府の方針として閣内で十分調整されたものではなかったことが露呈した形。
しかし、その一方で、北沢防衛相は「首相ですから、国の将来について自らの思いを述べるのは至極当然。それを原発推進派がいかにも政治のテクニックの中で、調整不足だとかそういうことに(論点を)切り替えていくのは間違っている」と述べ、菅首相の姿勢を擁護している。さらに、「何か言うと全部政局に絡めて延命だというのはつまらない議論だ」などと述べた。
こうした中、野党側は菅首相の発言に反発を強めている。
自民党・小池総務会長「政府の体をなしていない。以前から言っているようにガバナンスができていない。一日も早く退陣してもらわないとこの国がもたない。菅首相は国益よりも自分の延命を優先している」
公明党・井上幹事長「ひいては、日本のエネルギー政策というのは、本当に重要な、国の基本を成すものだから、そういうものについて個人的な見解を述べるというのは、私から言わせると極めて無責任と」
井上幹事長は、さらに「首相という立場の人がわざわざ会見で脱・原発依存のメッセージを発したことも疑問だ。国民に無用な混乱を引き起こす」と批判した。