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介護職員の不満 どう改善していくか

2020年2月10日 16:29
介護職員の不満 どう改善していくか

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「介護職員 現職への不満は?」。介護から人の可能性に挑む、Join for Kaigo代表の秋本可愛さんに話を聞いた。

介護職専門の紹介や派遣をするコーディアリティケアが、現役介護職員1020人にアンケート調査を実施しました。

「現職への不満はありますか?」の問いには、8割以上が「不満がある」と回答しました(ある82.8%・ない17.2%)。

具体的に何に不満があるか聞いたところ、

『正当に評価されていない(45.7%)』
『人員不足(43.3%)』
『休みが取れない(25.2%)』
『経験をいかして仕事ができない(24.2%)』
『施設長と馬が合わない(20.4%)』

などとなっています。

ネット上の意見では、

「介護職は体力的にも精神的にも大変な仕事」
「残業がきついから辞めてしまった」
「2025年問題対応にはもっと国も本気を」

などのような意見がありました。この話題について秋本さんのご意見をうかがいます。


――まずはフリップをお願いします。

「10%未満4割!」と書きました。

介護のイメージがすごく悪い印象があって、例えば「すごく大変」といったマイナスイメージがあると思うのですが、実は介護においても離職率10%未満の企業が4割ある状況で、全産業の平均と介護の離職率はほぼ変わらないぐらいまで回復してきているという現状がまずあります。

――多くないな、という印象を受けますね。

ただやっぱり、不満がたくさんある。不満に関しては、多分どの企業で働いていてもあるのかなと思うのですが、今は本当にいろいろな取り組みがなされています。例えば千葉県にある社会福祉法人の福祉楽団という法人では、毎年リフレッシュ休暇を年2回設けていて、12日は必ず休まないといけないという休暇制度を作っています。またサンウェルズという法人では、評価制度がすごく明確で、その分給与アップの段階もすごく明確になっているし、残業も平均して月に2時間程度になっている。いろいろな企業が取り組みをして、働き方に対して改善がなされている傾向が強くなってきている印象があります。

――一方で、やはりまだその8割以上の方が「不満がある」とおっしゃっている中で、秋本さんご自身が感じた「素敵だな」と思う取り組みなどはありますか。

例えば、私たちの「KAIGO LEADERS」の参加者で、職員がみんな楽しく働けるような現場作りをしたいと取り組み、インカムを導入して、コミュニケーションの改善などさまざまな取り組みをして、離職ゼロになっている法人があります。

――人材というところに関してはいかがでしょうか。

人材に関しては、今はもうどんどん要介護、介護が必要な人が増えている中で、介護職だけで支えるのが難しくなってきています。その中で最近だと「スケッター」という、素人でも1時間から介護に参加できるというサービスが1年前ぐらいに立ち上がりました。介護の身体介護じゃないところ、例えば食事の配膳やレクリエーション、あとお祭りのサポートなどいろいろな形で介護に関われるきっかけが今増えています。

――そういったことでしたら、介護の資格などを持っていなくても参加できそうですよね。

誰もが、介護って通る道だったりもするので、いろいろな関わり方が今後もっと増えてくるといいなと思っています。

■秋本可愛さんプロフィル
Join for Kaigo代表。超高齢社会を創造的に生きる次世代リーダーのコミュニティー「KAIGO LEADERS」を運営。介護に関心を持つ人が共に学んだり、プロジェクトを起こせる環境を提供。2019年12月からはオンラインコミュニティーもスタートし、地域を超えてつながれる環境をつくっている。また介護人材不足の課題解決に向け、介護事業者の採用や育成の支援事業を展開。さらに介護離職防止に向けた介護と仕事の両立ができる職場づくりのワークショップもスタートした。

【the SOCIAL opinionsより】