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地方の兼業・副業に交通費支援 どう見る?

2020年1月28日 13:53
地方の兼業・副業に交通費支援 どう見る?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「地方での兼業・副業に交通費支援」。新しい働き方を提唱するHARES社長・複業研究家の西村創一朗氏に話を聞いた。

政府は、兼業・副業での移動にかかる交通費を支援する制度を2020年度に始めます。対象となるのは、各都道府県の企業に、その自治体以外で暮らす人が兼業や副業でやって来る場合で、1人あたり年間50万円を上限に3年間で最大150万円を支給。財源は20年度予算案に計上した1000億円の地方創生推進交付金を活用するということです。

ネット上では、

「すばらしい動き」
「より積極的に地方で副業できる」
「地方と首都圏で人の動き活発に」

などの意見がありました。この話題について西村さんのご意見をうかがいます。


――まずはフリップをお願いします。

「“貢献人口”を増やす」と書きました。

地方ではどんどん人が減っていっている中で“関係人口”を増やすこと、もっというと、その地域、地方に貢献する“貢献人口”を増やすことが大事なわけですが、その上で、首都圏や近くの政令指定都市に住まうような県外の方を兼業・副業で巻き込んでいくということが非常に重要です。しかし、兼業・副業人材を受け入れていく上でのハードルがいくつかあり、中でも交通費というのは物理的にかかってくるわけで、そのお金を国が負担してくれることで、兼業・副業人材を受け入れやすくなるので非常に素晴らしい取り組みだなと思っています。

――受け入れる側も資金がないと、呼びたくても呼べないという苦労があったわけですね。

はい。一方で、交通費さえ支給すれば首都圏をはじめ、県外の方がどんどん地方に行くようになるかというと、それだけではないと思っています。実際に現地に足を運んで、その地域の魅力などを目で見て、アイデアを発想するということももちろん大事ですが、発想したアイデアを形にしていく上で、継続的にそのプロジェクトに関わっていかなくてはならない。その際に、やっぱり毎日毎週実際に足を運ぶのは物理的に難しい中で、場所が離れていたとしてもコラボレーションできるようなオンラインミーティングのツールやチャットツールを導入して、場所が離れていても仕事ができるような状態を作っていくということも大事です。なので、地方の自治体・地方の企業の経営者の意識改革、デジタル推進というのも大事かなと思いますね。

――デジタル化を導入するのになかなか悩む方々も多いと思うのですが、そういったところはどのようにアプローチしていったらいいでしょうか。

そもそも、そういったツールがあることすら知られてないということもあるので、それこそ副業人材を活用して、デジタルツールに詳しい人を地方に派遣して、講座を開いてもらうとか、実際に導入支援をしてもらうとか、そういった形で活用していくっていうのも一つの手としてあるのではないかなと思います。

――そして、どこか一つがそれを成功させれば変わるのではないですか。

やっぱり地方はすごく口コミが強いので一つ事例ができれば、「どこどこの誰々さんがこんなツールをいれて、一気に売り上げが伸びたらしいよ」といった事例があるとすぐに広がるので、まずはその一つ目の事例を作るということが大事かなと思いますね。

■西村創一朗氏プロフィル
HARES社長・複業研究家。会社を経営しながら、ベンチャー企業の社員として働き、NPOの理事も務めるなど「複業」を実践。新しい働き方を提唱している。大学1年生のときに子どもを授かり、学業・仕事・家庭を両立させる生活を経験。キャリアも子育てもあきらめない社会をつくるには、個人だけでなく企業の意識改革が必要と独立した。男性や女性、主業や副業にとらわれない「複業」を促進するため、働き方改革の専門家としてコンサルティングも行っている。

【the SOCIAL opinionsより】