飲み合わせ確認以外も…「お薬手帳の効能」
知っておきたいデータや情報をひもとく「input」。今回は「お薬手帳の効能」。山本健人医師に聞いた。
――このお薬手帳の効能とはどういうことでしょうか。
お薬手帳、もちろん病院に来る時は皆さん持ってきてくださいということなんですが、お薬手帳というのは飲み合わせを確認するだけのものだと思っている方が多いです。実はそれだけではなくて、例えば特にご高齢の方は、治療中の持病とかを聞いた時に何もないよとおっしゃったのにお薬手帳を見ると高血圧の薬があったり、糖尿病の薬があったりすると。
それを見て、高血圧や糖尿病が持病としてあるんだなと我々把握できますので。実際、特に自覚症状のない病気がご高齢の方にはたくさんありますので、それを全て医師に自分で説明することって難しいんですね。
それをお薬手帳に代弁してもらうということができるというのは一つですし、その薬を見ることでどの病院でどんな先生が出しているかが分かりますので、その処方の意図を我々が知って、その先生に紹介状を書いたりする時に、参考にしたりできるということもあって、かなり色々な情報が詰まっているというところが効能という風に考えていいんじゃないかなと。
――なるほど。お薬手帳はお薬の履歴書みたいな感じなんですかね。
そうですね。今までどんなお薬を飲んだか全てわかりますしね。
――実際はどれくらいの方がお薬手帳を持ってきますか。
感覚的なものですけど、半数ぐらいじゃないかなと。5割、6割ぐらいですかね。若い方であれば、ご自身で覚えておくこともできますし持病も少ない方が多いですけど、ご高齢の方になってくるとやっぱりご家族がサポートしてあげた方がいいんじゃないかなと思って。(例えば)ファイルなんかに入れて。
――いざ先生を目の前にすると、ちょっと緊張しちゃって全部を伝えきれなかったりもしますよね。
そうですね。聞かれてすぐに質問に答えにくい場合もありますので。
――そういった時はご家族のサポート。どこにあって、持っていくんだよって教えてあげるっていうことが。
そうですね。病院に行くもの一式セットにしておくとかですね。
――そうですよね。合言葉にしておくといいかもしれないですね。
そう思います。
■山本健人氏プロフィル
医師。消化器外科医として働きながら、一般の人に向けた医療情報の発信を積極的に行っている。「外科医けいゆう」のペンネームで医療情報サイト「外科医の視点」を運営するほか、様々なWEBメディアで定期連載。2019年11月には「医者が教える正しい病院のかかり方」という書籍も出版した。山本さんは2010年に京都大学医学部を卒業した後、複数の病院に勤務。その中で医師と一般の人との間にある医療情報の格差に課題を持ち、情報発信をスタート。医療の現場にいる人間が必要と思う情報を一般の方々にも届けたいとの思いで活動している。
【the SOCIAL inputより】