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まだまだ少ない…政治にもっと女性の力を!

2019年8月2日 16:11
まだまだ少ない…政治にもっと女性の力を!

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「政治にもっと女性の力を」。日本テレビ報道局・政治部の小西美穂解説委員に聞く。

先の参議院選挙を受けた臨時国会が、1日に召集された。「候補者男女均等法」が成立して初の国政選挙となった今回は、28人の女性が当選した。また、参議院の議長には、女性で2人目となる山東昭子議員が選ばれた。


――小西さん、今回の選挙結果、女性の政治進出の面からみてどう受け止めますか?

28人の女性が当選して、過去最多だった2016年の前回の参院選と並びました。一方で、女性候補の当選比率は26.9%で、前回選挙よりも下がっています。


――女性の当選者の数は多かったけど当選するには厳しかったと。

今回の参院選は男女の候補者が、出来るかぎり均等となるよう政党に求める「候補者男女均等法」が成立して、初めての国政選挙だったので女性議員がどれだけ増えるか注目していました。結果、女性の候補者は全体の3割に満たなかったし、選挙の結果も前回と同じ数、変わらず、道のりは遠いことがわかった。


――法律までつくったのになぜ変わらなかった?

巨大与党である自民党が候補者擁立の段階で全体の15%しか女性の候補を立てていなかったのが大きい。自民党は現職が多いので、現職の公認が優先されがち。ただでさえ新人の候補者が限られているのに、そこに女性を擁立するにはさらにハードルがある。


――法律だけど守らなくていいのでしょうか?

違反しても罰則規定がなく、努力目標にすぎないんです。安倍首相も努力不足を認めていますが、女性活躍の看板を掲げているのに首をかしげたくなりますよね。


――海外では女性議員をどうやって増やしているんでしょう。

海外約130か国が導入し、成果をあげている「クオータ制」がカギ。議員や候補者の一定数を女性に割り当てる制度です。国によって色んな方法とっているが、比例代表の名簿を男女交互にするとかして増やしている。


――それだと自然に増えますね。

そうですね。「クオータ制」をめぐっては、女性にゲタをはかせるのか、男性への逆差別だとかの異論もあります。けれどすでに各国で制度の効果が実証されていて、おのずと女性が当選するようになり、制度をなくした国もあるぐらいなんです。


――ではオピニオンをお願いします。

『次の一歩』と書きました。日本の国会の女性議員の比率は世界最低レベル。衆議院は男性が9割も占めているんです。今回の法律、いかに理念が素晴らしくても努力してください、だけでは実効性に乏しかったのがわかりました。

では罰則を設けるのか、あるいは海外のように強制力をもたせるのかなど、制度はできたのは大きな一歩なので、次の一歩が重要だと思うんです。党が積極的になって女性を増やす具体策に踏みこむ必要があります。


――そもそも女性が政治家になりたいという人は多いんでしょうか。

資金の不足や、選挙戦の厳しさ、家族の理解が得られないなど、能力もあって、意欲もある女性でも立候補を躊躇(ちゅうちょ)するハードルがたくさんある。夜のお酒の席で根回しをするという昔からの政治の慣行も女性の壁になっていたりします。「政治は男性がする仕事」という意識が有権者にもあって、これも根っこの部分を変えていかなければならないと思います。


――女性の議員が増えてくれるほうが、未来につながっていくという気もしますが。

女性議員自身も、真摯(しんし)に仕事して成果を出していくことも大切。女性を議会に送り出すと生活者の視点で「こんな法律ができた」「政策の効果があった」となると、じゃあ女性議員をもっと国会に送り込もうという後押しになります。

女性の活躍を推進している政治の世界が男性社会だと、新しい発想が生まれませんよね。「女性議員を増やす」と口で言うのは簡単ですが解決するのは難しいことです。かけ声だけでなく、一人一人ができることを考え行動していかないといけない。


【the SOCIAL opinionsより】