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「鳴子温泉」一部で供給“減”住民に影響も

2019年6月5日 19:36
「鳴子温泉」一部で供給“減”住民に影響も

1000年の歴史がある宮城県の「鳴子温泉」。数ある源泉の一部で、お湯をくみ上げる管が老朽化し、温泉の供給量が減っている。これを受け、観光や周辺の住民にも影響が出ている。何が起きているのだろうか。

◆1000年の歴史ある「鳴子温泉」で異変

宮城県大崎市にある「鳴子温泉」。源義経ゆかりの温泉として1000年の歴史があり、年間200万人が訪れるという東北有数の温泉地だ。しかし、普段は観光客であふれるという足湯が休業中。鳴子温泉の名物のひとつ「温泉卵」を作る機械も、お湯がなく動いていない。

さらに、多くの市民や観光客が訪れる共同浴場でも異変が──

滝の湯保存会総務担当 高橋武俊さん「普段もっともっと量が多いんですよ。今のお湯の量では足りない」

以前よりもお湯が減少。また、くみ上げた直後の水温が15℃近くも下がっているという(※現在の温度は45℃)。

滝の湯保存会総務担当 高橋武俊さん「(Q:懸念されるのは今後?)そうですね。外気温が下がる、温泉の温度が下がるという状態になってくると、入浴はちょっと難しいという可能性がありますね」

◆温泉地で何が?

今、この温泉地で何が起きているのだろうか。温泉をくみ上げている現場を訪ねた。

温泉の管理を行う『鳴子まちづくり』遊佐久則さん「ここが下地獄源泉といわれているところですね。ここから温泉を供給している形ですね」

鳴子温泉の数ある源泉のうち、主力のひとつである下地獄源泉では、6本の管(かん)を使ってお湯をくみ上げ、共同浴場や一般住宅など24か所にお湯を供給している。しかし、実はこの数か月で6本の管のうち4本が稼働休止となっていた。

◆調査で“破裂の可能性”…周辺住民にも影響か

きっかけは、今年2月に行われた市役所の調査。管の内部を点検したところ、つなぎ目などに気泡があり、破裂する可能性が出てきた。原因は老朽化とみられている。

復旧のためには莫大(ばくだい)な費用がかかる新しい「管」への交換か、新規の掘削が必要だという。もしこれが滞ってしまうと、困るのは周辺の住民だ。お湯を引いている共同浴場の管理人は──

共同浴場の管理人 遊佐洋子さん「この辺の人のお風呂はないんです、自宅に。ここが自分のお風呂と同じですから」

周辺住民がお風呂に入れなくなってしまう可能性もあるという。

行政は、この事態をどうみているのだろうか。

大崎市・鳴子総合支所長 高橋幸利さん「(管の)入れ替えするのにもかなり経費がかかりますし、掘削するにしても県の方の審議会の許可や必要な手続きがありますので」

仮に掘削が決まっても、工事を始められるのは早くても来年以降になってしまうという。

◆問題は一部のみ…「風評被害が心配」

このように温泉のくみ上げで問題が起きているのは、鳴子温泉の中でもこの下地獄源泉にとどまっていて、今のところ、その他の源泉は、影響が出ていないという。

温泉の管理を行う『鳴子まちづくり』遊佐久則さん「鳴子温泉(全て)のお湯がなくなったような風評被害、そっちのほうが心配でございます」

鳴子温泉は、この主力源泉の早い復旧を目指している。