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文学賞イシグロさん「日本社会全体に感謝」

2017年10月6日 4:50

 今年のノーベル文学賞の受賞が決まった日系イギリス人の作家、カズオ・イシグロさんは5日、会見で喜びを語り、「日本社会全体に感謝している」と話した。

 カズオ・イシグロさん(62)は、日本の長崎県で生まれ、5歳の時に家族とイギリスに移住した。

 1989年に発表した代表作「日の名残り」は、イギリスで最も権威のある文学賞「ブッカー賞」を受賞し、映画化もされている。また、2005年の「わたしを離さないで」は日本でもドラマ化されている。

 スウェーデンアカデミーは受賞理由について、「力強い感情の小説により、私たちが世界とつながっているという幻想に隠されている深い闇を明らかにした」としている。

 イシグロさんは、受賞が決まった後、会見で喜びを語った。

 カズオ・イシグロさん「“フェイクニュース”が出回っている世の中だから信じることができなかった。本当に驚きだ。少しでも予想できていたら、髪を洗っていたのに。これだけは言える、これは大変栄誉なことだ。年上の人が(受賞するかな)と思ったが、私も年だと実感した」

 イシグロさんは、受賞を予想していなかったという。また、日本も喜びに包まれていることについて感想を求められると、こう話した。

 カズオ・イシグロさん「日本社会全体に感謝している。作風には日本文化が大いに関係している。川端康成、大江健三郎の後の受賞ということに感謝している。日本人の両親に育てられた。物の見方や振る舞いなど(日本に)大きな影響を受けた」

 さらに、ノーベル文学賞の有力候補と目されていた村上春樹さんにも言及した。

 カズオ・イシグロさん「私よりも先に受賞するであろうすばらしい作家を思い巡らすと、まっ先に頭に浮かぶのは村上春樹さんだ」

 今後の目標について、まっとうな小説を書き続けることだと話したイシグロさん。ノーベル文学賞の授賞式は、スウェーデン・ストックホルムで12月に行われる予定。