×

予防法は…魚介類に寄生“アニサキス”注意

2017年5月10日 23:53
予防法は…魚介類に寄生“アニサキス”注意

 生の魚などに寄生しているアニサキスという虫によって、激しい腹痛や吐き気などが引き起こされる食中毒が近年増加、厚生労働省も注意を呼びかけている。私たちが魚を調理する際に気をつけるべき予防法は―。

     ◇

 アニサキスは、サバやサンマ、カツオやイカなど私たちの身近な魚介類の内臓に寄生する。魚介類が死に鮮度が落ちると筋肉にも移動するという。これを含んだ魚介類を生で食べると、激しい腹痛やおう吐などの食中毒の症状を引き起こすのだ。

 専門機関で見せてもらうと、アニサキスは白い糸のような寄生虫。長さは2~3センチで、肉眼でも確認することができる。

 厚生労働省の統計によると、アニサキスによる食中毒の患者は2007年からの10年で20倍以上となっていて、近年増加傾向にある。その要因は、(1)法令が改正され2013年からアニサキスによる食中毒が届け出の対象となったこと、(2)生で食べる機会が増えたことなども関係しているという。

 国立感染症研究所によると、アニサキスによる食中毒の患者は、年間7000人にものぼるといわれている。食中毒を防ぐには、何に気をつければいいのか。東京都健康安全研究センター・微生物部の鈴木淳副参事によると、一番確実なのは、煮たり焼いたりして、アニサキスを殺すことだという。60℃以上での加熱や、マイナス20℃以下で24時間以上冷凍することが効果的だ。

 一方、酢でしめてもアニサキスが死ぬことはないという。

 アニサキスが体内に入っても2日ほどで死滅するというが、鈴木淳副参事は、「(アニサキスの)潜伏時間というのは8時間ぐらい。魚を食べて8時間以内に激しい腹痛があって、アニサキスを疑った場合は、内視鏡医のある病院に行くと1番いいと思う」と話す。

 効果的な薬はないため、内視鏡を使って摘出するしかないという。暖かくなるこれからの時期、さまざまな食中毒に注意が必要だ。