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2日目のカレーで食中毒 ウェルシュ菌とは

2017年4月21日 19:26
2日目のカレーで食中毒 ウェルシュ菌とは

 “2日目のカレー”で起きた食中毒の原因が話題になっている。カレーをしっかり温め直しても防げない“ウェルシュ菌”による食中毒。その理由を取材した。


■70人以上の集団食中毒

 肉や野菜をじっくり煮込んで作る定番料理のカレーだが、3月、都内の幼稚園で作り置きした2日目のカレーを食べた園児ら70人以上が、吐き気などを訴える集団食中毒が起きた。その原因となったのがウェルシュ菌だ。

 このニュースが取り上げられると、SNSのツイッター上でツイート数が急上昇し、1日で1800件を超えた。中にはこんなツイートが――

 「ウェルシュ菌って何だ?」

 「寝かせたカレーがおいしいのに」

 「翌朝温め直してもダメなの?」


■“2日目カレー”おいしさのヒミツ

 街の人にカレーについて取材をすると、2日目のカレーを好む声があがった。実は、2日目のカレーには、おいしく感じる理由がちゃんとある。ホームメイドクッキング有楽町教室の料理講師・田中さんに話を聞いた。

 「まろやかになってとろみがついて出てくるということもありますので、にんじんや、いろんなもののうまみ成分が出てくる。味が染み込んでおいしいと言われますから」


■「100℃で熱しても死なない」

 食中毒は、そんなおいしい2日目のカレーで起きた。食中毒の原因を調べる東京都健康安全研究センターの薩た(つちへんに垂)担当課長はこう語る。

 「ウェルシュ菌という食中毒を起こす細菌がいる。これ(ウェルシュ菌)が原因となって食中毒が起きる場合があります」

 一体どんな細菌なのだろうか。薩た担当課長によると「100℃で熱しても死なないものがある。増殖するのに適した温度というのが大体40℃~50℃くらいと言われています」とのことだ。

 人の体内にもいるというウェルシュ菌だが、中には熱に強く毒素を出すものがあるという。そういったウェルシュ菌が作り置きしたカレーの中で大量に増殖すると、食中毒につながるという。


■菌の増殖を防ぐには

 作り置きしたカレーを保存するときは、すぐに冷やすことが大切だという。特に40℃~50℃くらいの間が一番よく増殖するので、その時間帯をなるべく短くしてすぐ冷蔵するといいそうだ。

 そのためにはどうしたらよいのかを田中さんに尋ねると――

 「温かいものは即冷やして、そして小分けにして冷蔵するなり冷凍するなり」

 小分けすることで温度が下がりやすくなる。さらに、小分けした容器を氷水で冷やすと、余熱が取れ早く温度が下げられるということだ。

 おいしい“2日目”を楽しむためにも注意が必要だ。


■カレー以外でも

 冬場などは、夜に作ったカレーを冷蔵庫に入れず、朝に温めて食べるという人もいるだろうが、薩た担当課長は「ウェルシュ菌による食中毒は1年中起こる」と話す。

 最近は、冬場でも暖房の普及で室内の温度や湿度が高く保たれているので、菌にとっても増殖しやすい環境になっているという。

 また、ウェルシュ菌による食中毒はカレー以外でも起きている。例えば、ローストビーフや筑前煮、グラタン、おでんなど色々な料理で発生している。

 ウェルシュ菌はあらゆる食材に付着していて、加熱しても死滅できないものもあるので、すぐに冷やし冷蔵庫に入れて、菌が増殖しないようにするのが大切だ。