×

NY名物!巨大ツリー その後はどうなる?

2015年2月6日 20:25
NY名物!巨大ツリー その後はどうなる?

 アメリカ・ニューヨークで最も華やかといわれるロックフェラーセンターのクリスマスツリー。約1か月間にわたり街を光で彩った巨大な木は、その後どうなったのだろうか。

 去年12月、ニューヨーク市で最も大きなクリスマスツリーに4万5千個のLEDが輝いた。80年以上前から続く冬の風物詩を支える巨大な木はどこからやってくるのだろうか。

 今シーズン使われた樹齢90年のツリーは、ニューヨークから250キロ離れたペンシルベニア州の家の敷地内にあった。これは、木をクレーンでつり上げ大型トレーラーに積み込む様子を家族が撮影した映像だ。毎年、全米中をまわり大きな木を探しているロックフェラーセンターから声をかけられた家族は、木がその後、再利用されると聞き、寄付することを決めた。木を寄付したレイチェルさんは「小さな町の小さな農場から来た木をこの大きな街で見るのは、ほれぼれするわ」と話す。

 マンハッタンの繁華街に毎年立てられる高さ25メートル近くの大きなツリー。1か月間にわたり、旅行者や家族連れらの心を温めた。そして、1月7日。4万5000個の灯りが一斉に消されると、辺りは一瞬にして暗闇に包まれた。木は、大型クレーンで持ち上げられゆっくりと動きはじめる。その後、枝は次々と切り落とされていき、トラックに積み込まれていく。消灯から約5時間、太い、立派な幹がむき出しとなった。

 アメリカでは家庭内に飾るクリスマスツリーも本物のモミの木が使われる。高いモノでは5万円ほどするが、クリスマスが終われば不要になる。そこで、ニューヨーク市では公園などに回収所を設け“再利用”しているのだ。それについて、ニューヨーク市の職員は「これは木くずです。ただ捨てるのではなく、木くずにして造園に使います」と話す。また、ニューヨーク市民からは「もちろん良いことだよ。道ばたに捨てたら、再利用されるか分からないけど、ここに持ってくれば再利用されるから良いことだよ」という声が聞かれた。

 では、ロックフェラーセンターの木はどうなるのだろうか。昨シーズンのツリーが“生まれ変わった”場所に向かった。そこでは、NGOの職員が「あの左上に置いているのが残った木です。ロゴが見えるでしょう」と説明してくれた。ツリーは建築用の木材へと加工され、ロックフェラーセンターの「ロゴ」が刻印されていた。そして、大半は、すでに再利用されていたのだ。

 アメリカでもあまり知られていないが、木材は、収入の少ない家庭に安く家を提供するNGO団体の手によって、12軒の民家に生まれ変わっていたのだ。去年12月に完成したばかりの家に住むロブレスさんを訪ねると「ロックフェラーセンターの木は、ここ天井倉庫に使われています。建築時に『家の一部の木材はロックフェラーセンターのツリーだよ』と聞いたときは、ビックリして『本当に!?』って」と驚いたという。クリスマスツリーに使われる木は柔らかく、家を支える柱には向かないとされている。それでも、“裏方”の天井裏で重要な役割を担っているのだ。また、別の家庭では、ツリーは食器棚をウラから支える木材として使われていた。この家のヘニさんは「絶対忘れない特別な贈り物よ。私の家はロックフェラーセンターのクリスマスツリーが使われたという歴史があるってね」とうれしそうに話す。木を寄付したレイチェルさんは「木が子どもたちを守るだけでなく、遊んだり、背を測ったり、宿題をしたりをするのに使われ、この木が第二の人生を歩むということがすごくうれしいわ」と思いを語ってくれた。

 世界中から観光客が訪れるニューヨークで輝きを放ったクリスマスツリーは、新たな家族の生活を見守り続ける。