息子を失った男性の最後の講演とは

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熊本2020.02.14 20:04

16年前に交通事故で息子を亡くし、自らもがんと闘いながら命の大切さを訴え続けている男性がいる。声を失っても伝えたいメッセージとは。13日夜、菊池市の講演会で壇上に立った高浜伸一さんは「もう声が出なくなったので、講演活動は一区切り、これで終わりにしたいと思っている」と声帯補助器具を使って話した。小学校の教員だった高浜さんは2004年に当時19歳だった長男の怜志さんを交通事故で亡くした。「命の大切さ」を訴え続けてきた高浜さんの講演は、県内外で500回を数えた。息子の死から5年後には自身が食道がんと診断されたが、治療を続けながら講演を続けた。「この世に、必要でない人は1人もいない。なくてもいい命なんて絶対ない。大切な命だ。生きて生きて生き抜いてほしいと思う」。しかし去年、ステージ4の咽頭がんが見つかり、手術で声帯を切除したのだ。その後も何度か講演したが13日を最後に活動を休むことを決断した。最後の講演で語ったのは、怜志さんの思い出と事故の悲惨さ。高浜さんは今も怜志さんの遺品を肌身離さず持ち歩いている。「思い出さないことはない。忘れたことはない。会いたくても会えない。電話もメールもできない。だけど会いたいだ。毎日思う」。息子の死を受け入れられず、死にたいと思ったこと。もがきながら前に進もうとした15年の月日。そんな自分を励ましてくれたのも怜志さんの存在だったこと。そして、がんになって自ら死に直面し、改めて向き合った命について。手術の痛みが残る中、声を振り絞りながら最後まで訴えた。「最後の1分1秒まで、せいいっぱい生きて生きて、生き抜かなくちゃいけないと思う。心から『ありがとう』、そう伝えたい。そう思いながら、私は息子の命の重さを多くの人に理解していただきたいと願っている」。繰り返し語り続けてきた思い。講演を聞いた人は「命の大切さというのを感じず生きていることが多いが、とても大切なものだと感じさせられた」「とても感動したし、帰ったら子どもを抱きしめたいなと思った」と話した。怜志さんの命を多くの人たちにつないでいく。高浜さんのメッセージだ。

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