騒音の町カイロ

(2006/09/27)


 


私が住んでいる町カイロは、人口1000万人を超える中東最大の大都市だ。
それだけの数の人間が暮らすとなると、当然町は騒々しくなる。
800万人を抱える東京も静かな町とは言いがたい。むしろかなりうるさい部類に入るだろう。だが、カイロとは比較にならない。

世界に数ある大都市の中でもカイロは「凄まじくうるさい」町のひとつだと思う。


騒音の最大の原因は、洪水のように街にあふれる車やタクシーが吐き出すクラクションにある。
とにかくカイロのドライバーはやたらとクラクションを鳴らす。
必ずしも危険を知らせるためだけではなく、タクシーは、
通りを歩く歩行者に自分の存在を知らせるために「ぷーっ、ぷーっ」とやる。

道路が渋滞すると、待つことが嫌いなドライバーらは、
自分の前に何台か車が繋がった時点で堰を切ったように鳴らしだす。

「ぷーっ、ぷーっ、ぷーっ!」・・・・・

・・・・・結婚式の車列、ひいきのサッカーチームの勝利を祝う車列、
とにかく、すぐにクラクションである。タクシーに乗っていると、全く脈絡がないところで突然クラクションを鳴らしだすことに驚かされることもある。

 クラクション以外でも、アラブポップスを流し続けるキャンペーン中の店、
アラブバンドが踊り歌い歩く結婚式のお祝いのパレード、物売りの声、
大声でけんかする中年の男たちの罵り合い・・・実に様々な騒音がカイロには満ちている。


「騒音」にはあたらないかもしれないが、もう一つ、中東諸国ならではの特徴的な音がある。
イスラム教のモスクから流されるお祈りの呼びかけ、アザーンだ。
毎日五回、半分壊れたようなスピーカーから、
かすれた大音量で「アッラー・ワ・アクバル・・・・」と始まる。

お祈りの時間を知らせるものだから、当然すべてのモスクは同時にアザーンを流す。
カイロに無数にあるモスクから一斉に始まると、
あちこちのアザーンが重なり合って多重ステレオのように町中に響き渡る。

赴任した当初は、早朝のアザーンで起こされたものだ。
・・・今ではすぐ近くで流れるアザーンの中、平気で熟睡できるようになった。

カイロでは、あらゆる音があふれ、そのすべてが町の活気となって巨大な町を彩っている。


そんなカイロが信じられないほど静かになる瞬間がある。
イスラム教の断食月「ラマダン」中、その日の断食明け最初の食事「イフタール」の時間である。
夜明けから水も飲まずに断食してきた人々が日没を知らせるモスクからの知らせと共に、
食事を始めるのだ。この時間、街からは車列が消え、文字通り人っ子一人いなくなる。
みんな家で食事にありついているのだ。

珍しく静寂が支配するカイロは、現実離れしていて、
自分がどこにいるのか一瞬わからなくなるような不思議な浮遊感に包まれる。
この感覚はなかなかいい。
いつもの喧騒が嘘のように町が静まり返るとき、しばしカイロにいることを忘れるのである。


ラマダンは一年に一度訪れる。エジプトでは今年、9月24日から始まった。
終わるまでの一ヶ月、断食と睡眠不足にいらいらする人々と、
(普段にも増して)停滞する経済活動に耐えながら、
イフタール中のあのひとときを楽しみに、仕事が思うように進まなくても大目に見ることにしようと思う。


イギリスの空

(2006/09/26)


 

ヨーロッパの人は散歩が好きなようで、各国の都市に大きな公園がいくつもあります。
そこに週末、「ひたすら歩く」「読書する」「ピクニック」等のために多くの人が訪れるものの、
決して混み合わないのが特徴です。
kew gardens.jpg
以前に私もイギリスのロンドン市内の公園「キューガーデン」に出かけて、その大きさに驚きました。
しかし、「まさに癒しの場所だ」と思った瞬間、大きな音が聞こえてきたのです。
・・・ヒースロー空港に程近いこともあり、場所によっては、
ひっきりなしに「キーン」という航空機の音が聞こえるのでした。

以前、90秒に1回の割合で、航空機が飛び立つもしくは降り立つという「イギリスの空の混雑ぶり」を聞いたことがあります。テロ計画の発覚の際にも、安全対策上の問題として取り上げられています。

4つのターミナルを持つヒースロー空港。普段はあれこれと飛行機に乗って飛び立つ方なのですが、
頭上で、ひっきりなしに聞こえる音を聞いて初めて、空の現実を実感しました。

テロの標的であったという話が尽きない中、どうか安全が守られて欲しいと強く思いました。

先月、チェコで行われた天文学連合の総会にて、宇宙に想いを馳せる人たちを取材しました。
望遠鏡などの技術開発によって、宇宙の「地図」が変わってきました。

しかしできれば頭上の空は、そうした夢の対象であってほしい・・ものです。

PLUTO .JPG


ご存知でした???

(2006/09/25)


 

はじめまして、NNNパリ支局へ特派員カメラとして駐在している常喜満です。
海外特派員といえば記者業務を想像される方が多いと思います。
そこで、今回はNNNパリ支局の特派員カメラマンの仕事を簡単にご紹介します。
取材エリアは主にヨーロッパ大陸。
大きな事件事故が発生すると中東、アフリカまで取材することになります。

特派員カメラマンも報道カメラマンなので
ニュースの映像部門を担うのが主な仕事です。
カンヌやべネチア映画祭のような華やか現場から
突発の事件事故取材などに対応すべく日本から派遣されています。


Vicky&Jacky20001.jpg


と、ブログを書いてる時にタイで軍によるクーデター発生!!
ニューヨークで国連総会に出席していたタイの首相(当時)が
ロンドンへ向かっていることを受け
急遽、ロンドン支局の応援取材!!
タクシン首相がいる現場取材や、徹夜でロンドン支局内のニュース番をこなしパリへ戻る。

ロンドンから戻るユーロスターの列車内でブログを書き書き。
さーブログをアップロードするぞー!!
と、パリ支局へ戻るやいなや
ドイツ・ラーテンにあるリニアモーターカーの試験場で
20以上の死者を出す事故が発生中!

荷解きをする間もなく
パリからドイツ・ハンブルク行きの飛行機に飛び乗る。
ハンブルクからの道中は森、また森。
野鹿や野ギツネに出会いながら山深い現場へ到着!
深夜3時過ぎに取材は終了したが
森に囲まれた現場周辺に開いているホテルも無し。
止むを得ず車中で1時間仮眠を取り
翌日は夕方まで取材。
現場に大きな動きが無いことを確認後
真夜中過ぎにパリへ戻る。

何やら行動確認のようになりましたが
特派員カメラマンの業務を垣間見ることができたでしょうか?
テレビ映像による表現手段を用いて
海外の報道現場最前線から日本へ
特派員記者と共にニュースを送り出しています。



ロンドンの落書きに思う

(2006/09/23)


 

先週末、ビクトリア駅構内の一角に、人だかりが出来ていた。
覗き込んでみると大きなホワイトボードにこんな問いかけが見える。

「あと1分しか生きられなかったら貴方は何をする?」

ビクトリア駅1.jpgなんのことはない、旅行会社の宣伝用デモンストレーションだったが、ロンドナーはこういう催しにはすこぶるノリがいい。余白もないほど埋められた書き込みを眺めてみるとなかなか面白い。

「神にただ祈る」とか「罪の許しを請う」とかキリスト教国らしいものから、「ウマいものを食べる」「ピンクフロイドを聴く」なんてたわいもないコメントに混じって、
「ブッシュを殺す」「ブッシュを一度生かしてまた殺す!」
と強い筆致で書かれているのが目を引いた。誰が書いたか知らないが、ブッシュ大統領といったらイギリスでもすっかり「悪役」イメージが定着してしまっている。ブレア首相がついに1年以内の退陣を言わされてしまったのも「ブッシュのプードル犬」だとか批判されたイラク戦争への対応が遠因だ。

場面はかわって9月初旬、フィンランド・ヘルシンキで行われたASEMアジア欧州会議。
ブレア首相は欠席し、ブッシュ大統領も元々メンバーではないので当然姿は見えない。
でもフランスのシラク大統領やドイツのメルケル首相、日本の小泉首相、中国の温家宝首相など、
アジア・欧州の38カ国の首脳が軒並み揃い会場は厳戒態勢だ。

そんな中にもどこか和んだ空気が漂っているのが不思議だった。 
会議の合間、記者団の目の前を首脳たちがぞろぞろ通り過ぎていく。
どこへ行くにもピリピリしたムードが漂っていた2ヶ月前のロシアサミットの会場とは明らかに違う。

「アメリカが参加していないだけでこんなに平和なんだよな」会場ではそんな冗談も聞こえる。
9・11同時テロ以来、アメリカを中心とする主要国と、テロリスト、あるいは「テロ支援国家」との対立は激しくなる一方だ。ブッシュ大統領の行くところ、どこに行っても激しいデモと、うんざりするようなテロ警戒が待っている。

そんな中、最終日に採択されたASEM議長声明には日本がこだわる「拉致」への言及がすっぽり抜け落ちていた。G8サミットと違って中国、韓国も加わるASEMで「北朝鮮包囲網」を構築するのは難しい。
「アメリカがいないとこうなっちゃう」と冷ややかな見方もある。 
一筋縄でいかない今の国際社会の縮図をみるような思いだった。

「ブッシュは嫌い」というのは簡単である。でも、拉致や核兵器の秘密開発などを進める問題国家に国際社会はどう結束して臨むのか、ハッキリ示せない限りは「ブッシュ批判」もただの感情論だと切り捨てられてしまうだろう。
いっこうに見えてこない答えを探して、外交取材の現場では悩ましい日々が続きそうだ。



見栄っパリ

(2006/09/20)


 

 パリ支局の徂徠です。
 実は私、赴任したのが9月1日、パリ駐在歴がまだ1ヶ月に満たない新米ホヤホヤなんです。
 これまで何度か仕事で来たことはあったのですが、あくまで観光客レベル。
もちろん住むのは初めてです。
 今回はその短い生活体験から「あ~っ、パリジャンって見栄っ張りだなぁ」と思ったことを
2つご紹介しましょう。


見栄っパリその① 「信号機」


パリ市内で車を運転し始めて一番最初に感じたのが「どこに信号があるの?」ということです。
電柱と電線が縦横無尽に張り巡らされていることが、
日本の街が汚く見える要因の一つと言われます。
パリに限らずヨーロッパの街はその逆。よく見るとゴミや犬の糞が落ちていたりして
結構汚れているのに、電柱・電線が無いおかげで遠目には美しい街並みに見えるのです。

20092006010.jpg 
信号機に関しても同じことが言えます。
日本の信号は遠くからも見やすいように車道の真上、
しかも交差点の手前と向こう側の2箇所に設置されているケースがほとんど。
特に大通りだと巨大な信号機が頭上に居座っています。
←(パリ市内の一般的な交差点に進入・・・信号はどこ?)
 しかしパリの信号はずっと「控え目」で、
車道というより歩道上に小型かつ縦型のものが設置されています。
交差点に差し掛かかると、まず信号機の存在を発見するのに一苦労。
さらに複数ある中から、どの信号に従うのが正解なのかを判断するのが、また一苦労です。
最近でこそようやく慣れてきましたが・・・
20092006009.jpg
しかもお目当ての信号は大抵が停止線の真横にあるので
一番必要なはずの運転席から特に見にくい位置にあるのです。
街路樹や路上駐車のトラックや、どこでも割り込んでくるバイクに隠れて見えないことがしばしば。
後ろからクラクションを鳴らされて「あっ!青になってたんだ」とあわてて発進することも日常茶飯事です。
(運転席から首を捻じ曲げてようやく見える信号)→
 もしこの信号が原因で事故が起こったりしたら、
恐らく日本やアメリカなら「視認困難な位置に信号機を設置した」とし
行政の責任が問われることになるんでしょうが
こちらは良くも悪くも「個人の自主性」を重んじるお国柄
そんなことを気にしている人は皆無のように見受けられます。

多少信号が見にくかろうが都市景観を守ることの方が大事ということなんでしょうか?


見栄っパリその② 「男子トイレ(小用)」

 次は下世話な話で恐縮ですが、男子トイレにある「小用」便器について。
これが小憎らしいくらいに挑戦的なんです。
20092006012.jpg 私の身長は173cmで脚の長さも特に長くも短くもない日本人としては
極めて標準的な体型だと自負していますが、
大抵のトイレはその高さが「ギリギリ」のところにあります。
何かパリ市の設置基準でもあるのでしょうか?
 支局があるモンパルナスタワーのトイレでもご覧の通り。
身長160cm以下の人なら「断念」せざるを得ないでしょう。
ましてや子供なら絶対に無理・・・。
 かといってフランス人が日本人より背が高いかというと、
実際はさほどでもありません。
たまに北方系でびっくりするほど高い人もいますが、
大抵のパリジャンは私と似たり寄ったりの体型。
フランス人の支局員2人も170cmそこそこ、
「この便器の位置、高いと思わない?」と聞いてみると、
「平均的な高さだと思います。」との答え。
 やっぱり「見栄っパリ」だなあと思いました。


「印象派の島」に行ってきました

(2006/09/18)


 

パリから車で15分、郊外のシャトゥという町に行ってきました。
この町には「印象派の島」と呼ばれるセーヌ川の中州があります。
モネやルノワールなど印象派の画家が通って作品を描いたことから名付けられたそうです。

どうして、ここにやってきたかというと…、毎年9月の第三日曜日「文化遺産の日」は、人々が絵画のモデルのような格好をして登場する催しがあるからなんです。
これぞ、究極のコスプレ!?といったところでしょうか。
若い人は勿論のこと、ちょっと年配の人たちも楽しそうに、それも似合っているからスゴイです。

DSC02492.JPG DSC02483.JPG

 DSC02476.JPGランチは、ルノワールの「舟遊びをする人たちの昼食」の舞台となったレストラン「メゾン・フルネーズ」で楽しみました。有名レストランなので、値段が高いかな?と心配でしたが、パリに比べればリーズナブルで料理も美味しく、お店の人もとても気さくでした。ラッキーなことに、絵のモデルとなったまさしくその場所でランチをいただくことができました。おかげで観光客の注目の的でしたが…。

パリを一歩出ただけなのに、町はとても静かで空気もきれい!そこに絵画の世界から抜け出したような人々がいる!!なんだかとっても優雅な気分を味わってきました。
来年は、私もコスプレして出かけようかなぁ~。