北朝鮮の資金源に密着

(2006/10/31)


 

 まさにタイムスリップしたような感覚だった。

軍事境界線を越えて北朝鮮に入ると、景色が一変したのだ。
今にも崩れ落ちそうな家屋の煙突からは夕食の準備の煙が上がり、
人々は橋のない川を膝まで浸かり歩いて渡っていた。
 
10月24日から2泊3日の日程で、北朝鮮の景勝地、金剛山を訪れた。
しかし、登山道の案内員やホテルの従業員などの限られた
「エリート」としか接触は許されない。一般市民の生活はバスの中から垣間見るだけだ。
 
田畑の耕作や移動はほとんど全て「人力」のようだ。
道路を走っているのは、登山関係などの韓国側の車のみ。
夜8時を過ぎれば辺り一帯は暗闇に包まれる。
登山客が泊まるホテルの前にあった金日成主席と金正日総書記親子の肖像画にだけは
明かりが消えることはなかった。

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 核兵器やミサイル開発に巨額の資金を注ぎ込み、
超大国のアメリカと渡り合おうとする先軍政治と瀬戸際外交。
人民を飢え死にさせることも厭わず、
蜜を吸い続けてきた指導者達の暴走はどこまで続くのだろうか。


改訂版 行列のできる甘栗店

(2006/10/27)


 

前回、クルマを題材に
北京の人々はあまり行儀が良くないことを指摘しましたが、
そんな彼らが粛々と行列をつくり、自分の順番が来るまで辛抱強く待っている場所があります。

故宮の北側にある地安門の甘栗屋「秋栗香」です。
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秋はクリのおいしい季節です。
中国では「8月はナシ、9月はサンザシ、10月はクリ」という言い伝えがあります。
いまはトップシーズンということになります。
北京の地元紙によれば、クリは栄養補給にも役立ちます。
たんぱく質、脂肪、ビタミンBが豊富な高カロリー食品で、
胃や脾臓、腎臓の機能強化に役立つということです。
さすがは健康情報に詳しい中国人、
ただ美味しいだけでは行列はつくらないというわけです。

この日、私が待たされた時間はほぼ30分。
せっかくだから、と作り方をじっくり観察してきました。
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使うクリは「懐柔油栗」。
北京市のに東北に位置する懐柔区(農村地帯)で獲れるブランド品のクリです。
店によれば、大きすぎても、小さすぎでもいけないのだそうです。
石の入った鍋に10キロ分のクリを入れて、時々砂糖水を加えながら30分炒ります。
甘栗がベタベタするのは砂糖のせいなのです(知ってました?)。
このベタベタで、クリの殻についていたゴミや石を取り外し、クリに艶を与えるという狙いがあります。
ちなみに砂糖は市販品ではなく、特別発注品。
おいしさのウラにはやはり「こだわり」がありました。
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4台の鍋が朝から晩までフル回転するのですが、
1日に炒る量は500キロから1000キロくらいだそうです。
行列が絶えないのだからもっとつくればいいのにと思いますが、
1回につき30分はかかるし、鍋は4台しかないし、これが限度なのでしょう。

30分の「炒り時間」が終わって、やっとだな~と思っていると、
もうひと行程がありました。クリをふるいのようなものにかけています。
石を取り除くのだそうです。買った甘栗に石はついていない、道理です。
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晴れてできあがった「甘栗」。
手さばきの早い女の子が500グラムずつ袋にぽんぽんと入れていきます。
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一袋500グラムで10元(150円弱)。北京の甘栗店としては高いほうです。
この日は4袋買いました。
ほかの客は一袋の人もいるし、10袋の人もいて様々ですが、
ここでおとなしく並んでいるひとたちの間からは
「たくさん買えば、待っている人たちを待たせてしまう」という意識(節度)が感じられます。
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炒りたてはちょっと剥きにくいのですが、ほっかほかの甘栗。好吃・・・。
でも、実は甘みが出てくるのは、しばらく時間が経ったあとなのです。
クリから熱が抜けると甘みがじわ~っと現れてくるようです。

ちなみに、今回購入の4袋は支局でみんなと山分けしました。
小さな幸せ、みなで分かち合うのが北京支局の方針?です。


ダメなものはダメ

(2006/10/17)


 

 北朝鮮の核実験で日本中が大騒ぎの中、ひっそりとミャンマーに行ってきました。
 みなさん、ミャンマーという国って詳しくご存知ですか??

 サンプルその①うちの妻:Q.ミャンマーと言えば? 
A.ビルマの竪琴、捕まっているおばさん。以上。

 はい、そんなもんですね。
これ以上サンプルを取るのはやめました。
ミャンマーは日本にとても関係が深い国で、
ミャンマーを愛する日本人の方もたくさんいらっしゃいます。
しかし、今までミャンマーとは何の接点も無く
生きてこられた方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

 ここでミャンマーと日本の関係や、ミャンマーを取り巻く国際政治のダイナミズムなどを
述べても長くなってしまいますので、街で見つけた小ネタを紹介したいと思います。

 私は首都のヤンゴンに滞在しました。
ここは他の東南アジアの街と同じように、活気に満ちています。
しかし、何か違う感じがします。街中が、なんだか静かなんです。

 よく見てみると、自動車の運転手がクラクションを鳴らさないのです。
一般的に、アジアの大都市(バンコク、ジャカルタ、大阪etc.)では、
「そこまでせんでも」と思うくらい、クラクションを鳴らします。
それが運転手同士のコミュニケーションの道具になることもあります。
 
 しかしヤンゴンでは、割り込まれても、
歩行者が飛び出しても、誰もクラクションを鳴らしません。
「我慢強い人たちだなぁ。さすがミャンマー。」と感心してしまいました。
 
 ところが現地の人に聞いてみると、これには理由があったのです。
それはある日、政府が「クラクション禁止令」を出したからなのです。
 詳しい理由はその人も知らなかったのですが、ある日突然、
「クラクションを鳴らしたら罰金!」というお達しがあり、それ以来、
誰もクラクションを鳴らさなくなったそうです。

 同様に、「オートバイ禁止令」や
窓に貼るフィルム禁止令」などもあり、
ヤンゴン市民は、急いでオートバイを地方に売ったり、フィルムを剥がしたりしたそうです。
実際に、ヤンゴン市内にはオートバイが走っていないし、車の窓はみんな透明です。
だいたい曇ってますけど。

 このようなお達しがあっという間に隅々まで浸透するのは、
ミャンマーの政治情勢と深い関係があります。興味がある方は、調べてみると面白いですよ。

 そしてもっと興味がある方は、ミャンマーを訪れてみて下さい。
なんだか不思議な世界が楽しめますよ。


あやふやな態度で・・・

(2006/10/16)


 

 国連の安保理で北朝鮮に対する制裁決議が全会一致で採択された。
各国独自の制裁も検討される中、予想通り韓国政府は消極的だ。

 北朝鮮が核実験に成功したと宣言した日、
安倍総理との初会談を終えた盧武鉉大統領は、
「このような状態になっても包容政策だけを主張しつづけることは難しい」と話し、
北朝鮮への融和政策の変更を明らかにした。

 金泳三元大統領は、「融和政策がとられたこの8年間余りで、
およそ5900億円を北朝鮮に支援した。こうした資金で核実験が行われた。」と強く非難。
アメリカも名指しはしないが、開城工業団地と金剛山観光の中断を望んでいる。
この2大事業が北朝鮮の重要な外貨獲得先の一つとなっているからだ。

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 しかし、「核実験」から1週間が過ぎても、具体的な制裁の動きはない。
韓国メディアによると、韓国政府は国連決議は支持するものの、
2大事業は制裁対象にあたらないと判断しているようだ。

 来年に大統領選挙を控え、対北朝鮮政策の失敗を認めることは難しいだろう。
今後も北朝鮮の出方と関係国の動きを見ながら対応しようというのだろうが、
早くほとぼりがさめるのを待っているようにも見えてしまう。


休みモード→お祝いモード→超緊張モード

(2006/10/04)


 

 韓国は週末から旧暦の「お盆休みムード」。そんな韓国が外交的快挙に沸いた。潘基文(バン・ギムン)外交通商相が第8代の国連事務総長に事実上、内定したのだ。「体を壊すんじゃないか」と思うほどのハードな外遊スケジュールをこなして票集め(?)に世界各国を飛び回っていたが、その成果か、圧勝だった。
 潘(パン)外通相は1944年生まれの62歳。韓国中部の忠州の出身で、高校生のころから外交官を目指す秀才だった。特に英語が得意で、高校2年生の時には全国からわずか4人という訪米団の一員に選ばれたほどだ。名門ソウル大を卒業後に外務省入りし、米州局長や駐米公使などを歴任、アメリカとのパイプも太く、国連業務にも詳しい。
 こうした華やかな経歴に関わらず、見た目は「人の良さそうなおじさん」。出馬を固めてからは、事務総長に必須のフランス語の勉強を始めたり、前述した訪米の際の壮行会で花束を贈ってくれた女子高生が現在の奥さんらしい、といったエピソードを聞くと、誠実な人柄が窺える。

南北境界線付近.JPG
(「核実験宣言」翌日の4日、南北境界線付近から見た北朝鮮」

そんな新任事務総長に重くのしかかるのは、やはり北朝鮮問題だろう。北朝鮮への融和政策を進めてきた韓国の閣僚が公平な立場をとれるのか、という懸念が付きまとう。そこに北朝鮮が核実験を宣言。事務総長確定の「お祝いムード」は一転し、外交、安保関係者は緊張に包まれた。
 瀬戸際外交を続けてきた北朝鮮が、最後のカードを切ろうとする意図はまだ分からない。潘(パン)事務総長はこの難題とどう向き合うのか、就任早々から真価が問われそうだ。


上海の先生曰く・・・②

(2006/10/03)


 

私の中国語の先生は年齢がひと回りも違う小姐(中国語で若い女性の意)。
小姐からメールが入った。

  小姐「足をくじいたので、きょうは授業を休みます」

最近、彼女はよく足をくじくらしい。『街中で「工事」が多過ぎて道がデコボコだから・・・』
これが彼女の分析。確かに中国経済を引っ張る上海は、いま成長の真っ只中にある。
古い町並みはあっという間に更地になり、ほんの数ヶ月で天にも届く様な高層ビルが現れる。
市の幹部と開発業者がタッグを組んで推し進める再開発のスピードは凄まじい。
去年だけで7万戸以上の家が立ち退きを迫られたという・・・。
上海支局から見える街並み2.JPG

一週間後、彼女は明るい表情で授業にやって来た。

  私 「足は大丈夫?」

  小姐「上海市の書記(中国共産党の上海トップ)が汚職で解任されましたね。
      人民のお金を悪用して私腹を肥やしたあの人は、絶対に許せません!」

治ったばかりの足をバタつかせて、彼女は真顔で怒っている。

  私 「(結構ハッキリと言うな・・)」

あからさまな共産党批判は中国ではタブーなはず。ところが今回の汚職事件で街を取材した時、
多くの人たちが「辛辣な」言葉を公然と口にしていることに私は少々、驚かされた。
「あの人の悪事は前から知っていた!」と、延々と話し続ける事情通?のナゾのおばさんにも遭遇した。

  私 「皆そんなにハッキリ言って大丈夫なの?」

そんな私の問い掛けに、彼女の答えは明快だった。

  小姐「もう捕まった後ですから・・笑」

中国では去年だけで「汚職や横領」で1万人を越える幹部を含む党員が党籍を剥奪されている。
この他、規律違反者の総数は11万人にも上り、
不正幹部の摘発を聞いて、人々が「花火」を打ち上げて喜んだ地方もあったらしい。

  私 「花火を上げて喜ぶなんて面白いね、日本では考えられないよ」

  小姐「でも、ケガをしてからでは遅いですから」

若いのに言葉のひとつひとつがとても重い、私の先生である。