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新たな“外来カミキリムシ”国内で初確認

2021年11月4日 20:04
新たな“外来カミキリムシ”国内で初確認

桜や梅の木などを食い荒らす、外来種のカミキリムシによる被害が各地で深刻となっています。撲滅を目指した対策が続く中、新たに中国などが原産のカミキリムシが、国内で初めて確認されました。すでに街路樹が食い荒らされる被害が出ています。

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福島県郡山市では、植えられた街路樹に無数の穴が確認できました。こうした異変は1本だけでなく、複数の木で起きているのです。

街路樹を傷つけた犯人は、大型のカミキリムシ「サビイロクワカミキリ」。中国南部などを中心に生息していますが、実は、日本国内で初めてその姿が確認されたのです。

発見したのは郡山市の樹木医・安齋由香理さんです。

樹木医 安齋由香理さん
「伐採木を入手しまして、中に幼虫が何匹もいるのを確認しました。7月7日に成虫が出てきて」

見たことのないカミキリムシだったため、国の研究機関で調べたところ、外来種で、国内では確認されていない種類だったというのです。

安齋さんが市内の街路樹を調べたところ、すでに多くの木で被害が出ていました。

樹木医 安齋由香理さん
「このあたりは今年卵からかえった幼虫が、中に入り始めている状態です。これが伐採された木の断面になります。すごく幼虫がたくさん、せん孔してるのが確認できると思います」

9割以上の街路樹が被害にあっている道路もあるといいます。

国内で初めて見つかった「サビイロクワカミキリ」。どのような生態なのでしょうか。

森林総合研究所 穿孔性昆虫担当チーム長・加賀谷悦子さん
「2年間かけて大人になるという、2年一化の生態をもっていて、その幼虫が木のエンジュやイヌエンジュの内部を激しく食い荒らす性質があります」

主なすみかとなるのは、街路樹として全国的に植えられているエンジュなどの木です。木の中を食べて枯らす“エンジュキラー”として知られているといいます。

森林総合研究所 穿孔性昆虫担当チーム長・加賀谷悦子さん
「倒木や落枝による車とか人への事故という危険がございます」

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“外来種のカミキリムシ”といえば、すでに深刻な被害が出ているものもいます。群馬県館林市で見せてもらったのは、ネットで覆われた1本の木──。

館林市地球環境課 黒岩雄一郎主任
「こちらがクビアカツヤカミキリの被害にあっている桜の木になります」

この「クビアカツヤカミキリ」も中国などが原産で、特定外来生物に指定されています。これまでに全国12の都府県で被害が確認されています。

館林市では、2015年に初めて確認されて以降、年々被害が拡大し、薬剤などを使って駆除を進めています。

さらに、ある制度も導入されました。

館林市地球環境課 黒岩雄一郎主任
「クビアカツヤカミキリの成虫の遺骸を提出された方に、50円もしくは飲み物の交付制度を行っております」

今年度は7503匹の死骸が届けられたということです。

館林市地球環境課 黒岩雄一郎主任
「市民の方のご協力をいただいて、人海戦術で捕まえています」

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新たに見つかった街路樹に巣くう「サビイロクワカミキリ」。福島県は4日、被害状況を確認する会議を開き、今後、生息数などの調査を進めていくということです。