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ワクチン接種が進む山口県 3つの“秘訣”

2021年9月22日 19:08
ワクチン接種が進む山口県 3つの“秘訣”

政府は、現在出されている緊急事態宣言について、今月30日の期限で解除することも視野に検討しています。そのカギとなる新型コロナウイルスワクチン接種の進み具合も含めて、説明します。

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■新規感染者数など“減少傾向”緊急事態宣言どうする

全国の感染状況について、21日、全国で新たに確認された感染者の数は1767人です。全国の新規感染者が2000人を下回るのはおよそ2か月ぶりで、7月12日以来です。

緊急事態宣言が出ている19の都道府県を見てみると、北海道は36人、東京は253人など、東京のピークは6000人に迫っていたので、全国的にもかなり落ち着いてきていることがわかります。

こうした状況の中で、現在出ている緊急事態宣言をどうするのでしょうか。

政府は新規感染者数や療養している人が減少傾向にあることから、今月30日の期限で宣言の解除も視野に検討しています。ある政府関係者は「政府としては、すべての地域を解除して次の政権に引き継ぎたいが、専門家の意見次第だ」と話しています。別の政府高官は「沖縄と愛知は厳しいかもしれない」と話しています。

感染者数は減ってきていますが、医療現場はまだ、全体的には厳しい状況です。20日現在で、療養している人の数は10万人あたり30人以上で、一番厳しい「ステージ4」の目安となります。北海道は22人、東京は62人なのに対して、愛知は122人、沖縄は196人です。まだ、かなり多く、愛知などは数字も3ケタなので、まだまだ厳しい状況であることがわかります。

政府は期限が迫る28日に対策本部を開き、解除するかどうかを正式決定する方向で調整しています。

そして、緊急事態宣言解除のカギともなるのがワクチン接種の進み具合です。最新の政府のデータによりますと、全人口で1回目の接種を終えた人が67.2パーセント、2回目の接種を終えた人が55.1パーセントに達しています。世界の先進国の接種割合にどんどん追いついて、追い越す勢いになっているのが現状です。

■“2回目ワクチン接種率”都道府県別ランキング

2回目のワクチン接種率の、21日時点での都道府県別ランキングがあります。各地域でいろいろな事情があると思いますが、一番下からみますと、47位は沖縄県で、接種率は45.94%となっています。そして…。

46位 栃木県
45位 埼玉県
44位 大阪府


38位の北海道まで、下から10位はすべて、緊急事態宣言が出ているところが占めています。同じく緊急事態宣言が出ているところでは…。

滋賀県 35位
三重県 32位

茨城県 30位
兵庫県 29位

福岡県 26位
東京都 25位(54.6%)

広島県 22位

岐阜県 16位

宣言が出ている中で一番進んでいるのは、5位の群馬県で60.7%となっています。そして、トップ3は…。

第3位 和歌山県 61.65%
第2位 熊本県  61.89%

第1位は山口県で、県民の64.8%が2回目の接種を終えているという状況です。

■一番接種が進む山口県 3つの“秘訣”とは

なぜ山口県は、一番接種が進んでいるのでしょうか。22日、山口県の担当者に話を聞いてみました。主な理由は3つありました。

1.早い段階で県独自の「目標」
2.予約の「一元化」
3.市町間でワクチン「融通」

特に1つ目ですが、山口県は、県と市町、関係機関の3者が連携して独自の目標を立てていました。例えば6月という早い段階で、「10月末の接種完了」との目標を立てていました。その目標に向け体制を整えてきました。しかも、これは国の目標設定を待たずに県と市町が話し合って決めたことでした。すでに対象者のおよそ7割が打ち終え、10月末の目標に向け最終段階に入っています。

2つ目の「予約の一元化」について、接種をスムーズにする効果がありました。というのも、接種会場は県も設けましたが、県と市町の会場の両方で予約を受け付けると、「二重予約」が発生しかねないと考えて、予約の受け付けは市町に一元化しました。面倒がなくなってストレスが減少することで、接種がスムーズに運んだともいえます。

ビジネスでも、早くに具体的な目標が定まると、各自がやるべきことを理解して、自分で判断できるので、チーム全体がうまくまわります。それに司令塔、例えば今回は県が後方にまわってワクチンの融通、目が行き届かないようなところを支援したということで、役割がはっきりしていたことが、成功の秘訣(ひけつ)だったのではないでしょうか。

こうした中、民間からの動きですが、旅行大手の「読売旅行」では、来月1日以降に出発するすべての添乗員付きツアーについて「ワクチン・検査パッケージ」を導入することを発表しました。ツアーに参加するすべての人に、「ワクチン2回接種済み」もしくは「検査で陰性」のどちらかを満たすことをお願いしているということです。

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感染者が減少し、ワクチン接種が進む中で、新たな生活をどうするのかということについて、政府にはなるべく早く具体的に、緩和と次の波への対策を国民に示してほしいと思います。

(2021年9月22日午後4時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より)