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天皇ご一家もうすぐお引っ越し「御所」公開

2021年8月16日 14:19
天皇ご一家もうすぐお引っ越し「御所」公開

天皇ご一家がまもなく引っ越しをされる皇居の「御所」の内部が公開されました。「御所」は1993年に完成し、上皇ご夫妻が在位中の住まいとされていました。去年6月から水まわりや電気設備などの改修工事を行ってきましたが、6月末に完成し、このほど公的に使用される部分が、公開されました。現在、赤坂御用地内に住む天皇ご一家は、パラリンピックの閉会後に御用邸での静養を経て、9月半ばに入居される予定です。


――井上さんは「御所」に入られたことはありますか?

はい、平成5年の完成直後、報道陣に公開された内部を取材しました。ここが平成皇室の活動の拠点になると、新しい時代の到来を思ったものです。今回改修されましたが、基本的な作りは全く変わっていません。

「お住まいの御所」と聞くと、単に生活の場という印象を受けますが、住居の「私室部分」と、お客様の「接遇部分」と、お世話に当たる側近たちの「事務部分」と、3つの建物が中庭を囲んで配置されています。

こちらは「食堂」と呼ばれる場所ですが、「接遇部分」では、多くの外国の賓客を迎えて「お茶」や「ご夕餐」などが行われています。隣は「応接室」で、上皇さまが東日本大震災直後のビデオメッセージを収録された場所でもあります。

こちらは「大広間」です。東日本大震災直後、電気の使用量を抑えるために宮殿を使わず、閣僚の「認証式」など国事行為が行われたこともありました。

御所の設計は、世田谷美術館などで知られる故・内井昭蔵氏です。読売新聞の取材に、内井氏が「天皇陛下(上皇さま)との打ち合わせではいつも『これは必要なものですか』と聞かれました。華美を排したご注文でした」と語っていたのが印象に残っています。


――全体的にシンプルですけどもあたたかみが感じられますよね。

日本的な雰囲気が外国賓客に喜ばれるそうです。令和の両陛下も、心のこもったもてなしで様々な交流を深められていくと思います。


【井上茂男(いのうえ・しげお)】
日本テレビ客員解説委員。皇室ジャーナリスト。元読売新聞編集委員。1957年生まれ。読売新聞社で宮内庁担当として天皇皇后両陛下のご結婚を取材。警視庁キャップ、社会部デスクなどを経て、編集委員として雅子さまの病気や愛子さまの成長を取材した。著書に『皇室ダイアリー』(中央公論新社)、『番記者が見た新天皇の素顔』(中公新書ラクレ)。