×

五輪医療に2つの「懸念」…受け入れは?

2021年7月22日 9:04
五輪医療に2つの「懸念」…受け入れは?

東京の新型コロナウイルス感染者が増える中、東京オリンピックの開幕を迎えます。大会関係者が感染した場合の対応や、会場へ派遣される際の準備などをめぐり、医療現場からは懸念の声が上がっています。「安心安全な大会」は実現できるのでしょうか。

■VIPがコロナ感染なら…「調整中」

有働由美子キャスター
「21日の東京の新たな新型コロナウイルス感染者数は1832人で、前週と比べて683人増えました。東京の重症者の病床使用率は52%となり、最も深刻な「ステージ4」を上回っています。この状況で東京オリンピックを迎えているわけですが、医療の現場も含めて大丈夫なのでしょうか?」

小栗泉・日本テレビ解説委員
「医療現場からは2つの懸念が上がっています。まず、『コロナ患者を受け入れられない?』というものです」

「サッカー会場の近くにある横浜労災病院では、大会中に選手のけがの治療などを受け入れる一方で、大会関係者が感染した場合、状況によっては受け入れる可能性もあるといいます。ただ病院は『感染者数が来週、再来週と増えてきた時に、どこまで大会関係者に対応できるのか非常に不安』と気をもんでいます」

「また、大会に関わる医療関係者によると、今回、VIPらのために8か所の病院が押さえられていますが、その中には『コロナの場合は受け入れられない』と言う病院もあります」

有働キャスター
「どうするのでしょうか」

小栗委員
「組織委員会に聞いたところ、具体的なことは調整中ということです」

■派遣の情報なく…断った病院も

小栗委員
「そして2つ目の懸念は、『現場に行くまで分からない』というものです」

「組織委員会は『大会の全医療スタッフは約7000人で、必要なスタッフ数はおおむね確保している』と説明していますが、大会に医師を派遣するある病院の関係者は『競技の数日前になっても、知らされるのは派遣される場所だけ。当日、競技がどう行われるのかも、会場のどこで水を飲めるのかも、行くまで分からない。コロナ対応などで手いっぱいの中、医師らの派遣を断った病院もある』と明かします」

■辻さん「どこが『安心安全』?」

有働
「もう既に競技が始まっている中、この状況です」

辻愛沙子・クリエイティブディレクター(「news zero」パートナー)
「医療に関しては絶対必要な領域ということは前々から分かっていたわけですから、なぜ、今の今まで固まっていないのか、本当に不思議です。まるで『開催まであと1年』というタイミングの話を聞いているかのようだな、という印象でした」

「大会関係者の感染も出ていることを鑑みても、いったいどこが『安心安全』なのだろうなと、不安に思います」

有働
「それでも開催すると決めたのですから、『安心安全』と言った人たちは、選手と日本に住む人たちの健康を守る責任があります。現場の医療従事者の声をよく聞いた上で、今すぐ動いていただきたいと思います」

(7月21日『news zero』より)