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宣言解除で8月にはリバウンド…新たな試算

2021年6月10日 21:35
宣言解除で8月にはリバウンド…新たな試算

東京などに出されている緊急事態宣言の期限まであと10日と迫ってきました。期限通り解除できるのかどうか、新たな試算も発表されましたので、詳しくお伝えします。

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■期限まで10日 どうなる“宣言”解除

現在、10都道府県に出されている緊急事態宣言の期限は6月20日(日)までです。10日後に迫ってきていますが、延長に延長を重ねてきた宣言は、今度こそ解除できるのでしょうか。10日、東京都は感染状況を分析する会議を開き、専門家は次のように話しました。

東京都医学総合研究所 西田淳志センター長「宣言3週目以降は4週連続で繁華街滞留人口が増加し続けており、宣言前の水準に近づきつつあります。この人流増加は、今後の感染状況に跳ね返ってきますので、近く新規感染者数が下げ止まり、再び感染拡大へと転じていく可能性が高くなってきていると思われます」

こうした中、期限通りに解除すると、8月には再び宣言が必要になるレベルまでリバウンドしてしまうとする、新たな試算が発表されました。

■新たな試算…“8月に再宣言”との分析も

9日に行われた厚生労働省の専門家会議で、京都大学の西浦教授がシミュレーションを示しました。高齢者の接種率によって、東京都の感染状況がどう推移するかを予測したものです。

予定通り21日に宣言を解除し、その後、この春に大阪で起きた第4波と同レベルの感染拡大が起こると想定して、今後の重症者数を予測。この場合の重症者とは、都の基準より広い範囲でカウントした国基準のものとなります。

シミュレーションでは、高齢者の9割が7月末までにワクチン接種を完了したとしても、高齢者以外の感染が拡大し重症者が増えるため、8月上旬には重症者用の病床が7割埋まり、再び宣言を出すレベルに達する予測になりました。その後、宣言解除の目安となる病床3割を下回るのは11月中旬ごろとなり、3か月も宣言を出し続けることになるかもしれないということです。

しかも、7月末までの高齢者の接種率が9割に達せず6割から8割にとどまると、11月中旬に解除しても、再び年明けに宣言が必要なレベルにリバウンドしてしまうシミュレーションとなっています。

実際、9日時点で2回接種した高齢者は4%にも満たないというところです。あと1か月半で9割を超えるまで加速できるかどうか、なかなか厳しそうです。

ただこの想定には、企業や大学での若者への接種は含まれていないので、その意味では少し厳しめの試算ですが、一方で、オリンピック開催による人の移動の増加や、今後、感染者の半数以上を占めるとも言われている感染力の強いインド型の変異ウイルスによる影響も考慮されていないので、楽観的ともいえます。

西浦教授は、「現在の対策の範囲内では、遅くとも8月中に緊急事態宣言相当の流行になることを避けられない可能性を十分に想定する必要がある」と指摘しています。

また、厚労省・アドバイザリーボードの脇田座長は「今後、お盆や夏休み、さらにオリンピック・パラリンピックがあれば、さらに感染増加の要素になる。ワクチン接種が進んでも感染拡大が起これば医療のひっ迫につながる」と警鐘を鳴らしています。

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■五輪開会式まで43日 入国者の行動管理どうやって?

そのオリンピックの開会式まであと43日。専門家から警戒感が示される中、組織委員会は大会に向けて入国する人に厳格な行動管理を行うことを明らかにしています。

大前提として、入国する大会関係者全員に「14日間」の行動規制をお願いするとしています。移動先を限定して自由に出歩けないようにしようということです。その規制方法は、行動計画書を出してもらうだけでなく、選手も大会関係者も「GPS」で厳格に行動管理されることになります。

GPSをどう身につけるのかということについて、大会織委員会の武藤事務総長によると、持参しているスマホのGPS機能をオンにしてもらうということです。これはGPSで常に行動を監視するのではなく、問題があった際に、ログ、履歴を確認させてもらうのが狙いです。あとからルールを守っていたと証明できるようにするということです。

ちょっとした外出でオフにしていた場合などの対応についてはコメントを出していませんが、この規約に違反した場合、外出禁止やアクレディ(資格)剥奪、国外退去などしてもらうことを検討しているということです。

中でも、海外メディアに対してはほかにも細かく行動規制されます。入国後14日間は、GPSのほかに、『一般人』への取材禁止、『公共交通機関』の利用禁止、移動はホテルや競技場など行動計画書に記載された場所のみに限定。宿泊先についても、民泊や友人宅などはNGで、組織委員会が『監督』できる約150のホテルに限定されるという厳しさです。

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■橋本会長「“ワクチン接種”は『おもてなし』

大事なのは海外から来日する人への規制だけではありません。大会組織委の橋本会長は9日、安全安心な大会にするために日本国内の「大会関係者はできるだけワクチンを打って準備に取り組む。それが、日本の組織委員会としての『おもてなし』」であると話しました。

IOCから2万人分のワクチンの無償提供を受けることになっているのですが、その量をさらに増やせないか相談しているそうです。国内メディアやボランティアも含め、できるだけ接種を受けて選手らを迎えることが、日本のおもてなしだというふうにいっています。

ワクチン接種は加速していますが、先行する海外では接種が進んだにもかかわらず、ここにきて感染者が増加に転じている国もあり、油断はできません。

中年世代も一定の割合で重症化しますし、若い人の後遺症もあります。高齢者へのワクチン接種で安心するのではなく、それ以外の世代も、人との接触を避けるなど対策を続ける必要があります。

2021年6月10日16時ごろ放送 news every.「ナゼナニっ?」より