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コロナ&インフル流行 体制整備に各地苦慮

2020年10月27日 13:32
コロナ&インフル流行 体制整備に各地苦慮

今後、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行する可能性があるため、厚生労働省は、患者が地域のかかりつけ医で、診療や検査を受けられるような体制を今月中に整備するよう、都道府県に要請しています。しかし、各地で、体制整備に苦慮していることが日本テレビの調べでわかりました。

■「かかりつけ医に電話で相談」に変わります!
現在、発熱など症状がある人は、保健所などに設けられた「相談センター」に電話し、必要と判断された場合、大きな病院などにある「帰国者・接触者外来」を紹介してもらい、患者はそこに行って新型コロナウイルスの検査を受けることになっています。

しかし、厚生労働省は、今後、新型コロナウイルスとインフルエンザが同時に流行し、発熱などを訴える人が増える可能性があるとして、症状がある人は、保健所でなく、それぞれの地域のかかりつけ医に電話する仕組みに、順次、変更する予定です。

そのかかりつけ医によって、診療、検査できるのが望ましいものの、できない場合は、地域で検査可能な医療機関などを患者に紹介します。

■体制整備は? 進んでいるのか?
厚労省は、なるべく多くの診療所やクリニックで発熱患者を診察してもらい、大病院ではなく、地域で新型コロナウイルスとインフルエンザ両方を検査できる体制を、10月中に整備するよう都道府県に要請しています。

この整備状況について、日本テレビが全都道府県に先週から今週にかけて調査したところ、新型コロナウイルスとインフルエンザの両方を検査できる地域の医療機関が「整備できた」という県は、神奈川県、静岡県、徳島県など14県にとどまりました。「調整中だが、めどがたった」が、5つの都、府、県、「一定の整備ができたが、まだ増やす」とした県は4県でした。

一方、国への報告期限である今月30日にむけて「調整中」「回答を控える」などとした道府県が22か所あり、調整が難航しているという県もありました。

■医師が手を挙げない理由は?
この体制を作るため、都道府県は、新型コロナウイルスとインフルエンザ両方の診療や検査を行います、というクリニックなどを「診療・検査医療機関」として、指定します。

しかし、医療機関が指定にむけてなかなか手を挙げない実態があるといいます。

多くの県から、「医師の間に、新型コロナウイルスの感染者を診断することによる風評被害や発熱患者が殺到することへの懸念がある」といった回答が寄せられました。

また、医療機関や医師の数が少なく、調整に苦労する県やかかりつけ医がいない患者をどうするかや、休日や夜間の対応が課題とした県も複数ありました。

■地域によっては「検査センター」も
厚労省は、両方の検査が可能な地域の医療機関が足りない場合は、医師会と協力するなどして、地域に「検査センター」を作って対応することも可能としていて、都道府県の多くが、検査センターを設置済みか設置予定だと答えました。

また、国は、新型コロナウイルスとインフルエンザの両方を診療や検査できる医療機関には、補助金を出す制度を新設しましたが、「制度が複雑でわかりづらい」という声が多くありました。

この補助金を受け取るには、発熱患者を診る時間帯を決める必要がありますが、「現実に即していない」という意見があったほか、発熱患者を多く診察するほど受け取る補助額が多くなる制度に変えてほしいという要望が複数寄せられました。

■国の反応は?
田村憲久厚生労働大臣は27日、こうした状況について、「強制的にクリニックに発熱患者を全部診てとは言えない。病院等の駐車場に、仮設で発熱患者を受け入れる、また、PCR検査センターなどのやり方もあり、それぞれの地域に応じたやり方を厚労省としてはアドバイスをさせていただく」、補助金の制度については「1日フルタイムで発熱患者受け入れるとした医療機関には、患者20人分の金額を保障をする制度だ。発熱患者が来院しなかった場合にも、一定の金額を出して、医療機関に、手を挙げていただくための補助金だ」と説明して、理解を求めました。

■いつから変わるの?
厚生労働省は、都道府県のうち、体制が整ったところから順次、症状がある人が、まずは「かかりつけ医」に電話する仕組みに切り替えるよう要請しています。

仕組みが切り替わる時期や、かかりつけ医がいない人などからの電話を受け付ける「相談センター」が設置されるかどうかなどは、地域によって異なるため、都道府県の発表を確認することが必要です。