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「作るだけ赤字」中国でマスクバブル崩壊

2020年6月12日 22:24
「作るだけ赤字」中国でマスクバブル崩壊

一時は争奪戦もおきたマスク。しかしいま、「マスクバブルが崩壊か」と言われています。中国では多くの工場で、製造中止を余儀なくされていました。日本国内でもマスクが思うように売れず、値段が下落したものも。取材をすると、1枚当たり19円のマスクも売っていました。

■値崩れし「1枚19円も」

12日、東京・調布市のドラッグストアでは、店の前にマスクが山積みになっていました。

こちらの店ではおよそ1ヶ月前50枚入りを600箱、合計3万枚のマスクを入荷しましたが、思うように売れていないといいます。

くすりのケンコ薬局 加藤健一店長
「現状1日3,4個という感じですね」

600箱のうち売れたのは320箱ほど。

値段も800円ほど下げましたが、店長は「6月いっぱいくらいで売り切れればと思っていましたが、おそらく売り切れませんね」と話しました。

また、上野のアメヤ横丁で売られていたマスクは、50枚入りで950円(税込み)。以前は2500円で販売していましたが、いまは半額以下に値崩れしています。

1枚に換算すると19円まで値段は下がりましたが、土産物店の店員は「もうみんなマスク持っているからあんまり買わない」とため息をつきます。1日に売れるのは10~20箱ほどだそうです。

■中国もマスクバブル崩壊 ナゼ?

完全に崩壊した”マスクバブル”。主な輸入元中国では、マスク製造に新たに参入した経営者が大損し、嘆いている映像がSNSに投稿されていました。

会社の経営者
「マスクの機械は80万元(約1211万円)で買った。布は1トン12万元(約182万円)、フィルターは47万元(約711万円)。でもいまは1個0/2元(約3円)でしか売れない。最悪だ」

いったいなにが起きているのか。いま首都・北京市内の薬局ではマスクはどこにでも売られていました。

最近の売れ行きを聞いてみるとーー
 
薬局の店長
「買う人はかなり少なくなりました。当時は奪い合う感じでしたが、いまは主に出かけるときにマスクを忘れた人が買いに来るくらいです」

また町でも変化がありました。

上海では、5月に入ってから地下鉄や密閉空間以外ではマスクの着用義務が緩和され、需要が激減。暑いこともあり、マスクをしている人の数かなり減ったそうです。

上海市民
「ソーシャルディスタンスを保てば問題ないと思います。最近暑くなってきましたし」

その中で、さらに影響を受けているのがマスクの製造会社です。

国をあげてマスクの量産に乗りだし、世界中に輸出していた中国。このため1月から5月までに7万社以上がマスク関連の事業に新たに参入したということです。

しかし、海外から品質の悪さなどの指摘があり、中国政府は輸出マスクの管理を厳しくしました。その結果、中国国内でもマスクはあまり飽和状態になったといいます。

マスク工場の社長は「作れば作るだけ赤字になるのでやらない方がいいと思います」と述べました。

別のマスク工場の社長はーー

「値段は下がりっぱなしです。いまは0,2元(約3円)~0,3元(約5円)まで下がりました」「この町に1000の工場がありますが、70~80%は製造を中止しています」

中国でもマスクバブルは崩壊し多くの工場が製造中止を余儀なくされていました。

■日本では「お中元に5枚のマスク」も

一方、日本国内では新たな動きも。

栃木県那須町にあるホテルの中で行われていたのは、マスクのこん包作業です。マスク5枚を「お中元」として販売するといいます。

そのホテルを運営する三和の施 盛大社長はこう述べました。

「(新型コロナウイルスの影響で)お客様がかなり減っていまして、スタッフの雇用を守るために、ちょっといろいろ工夫してこういう作業を(しています)」   

なくてはならないものになったマスク。活用方法も広がりを見せています。

2020年6月12日放送 news every.より