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北の新型コロナ事情 金委員長マスクせず

2020年4月3日 16:11
北の新型コロナ事情 金委員長マスクせず

知っておきたいデータや情報をひもとく「input」。今回は「北朝鮮をめぐる新型コロナウイルス事情」。日本テレビ国際部・嶋太朗記者に聞いた。

けさの時点で新型コロナウイルスの感染は179の国と地域にまで広がったと確認されています。その中で今回紹介するのは、感染者が確認されていないとされる国のなかで日本から最も近い国の対応です。どこか分かりますか。

――北朝鮮でしょうか。

そうです。本日は「北朝鮮をめぐる新型コロナウイルス事情」について紹介します。北朝鮮国営メディアによりますと、3月25日時点で感染者は出ていないと公表しています。

――全世界的に流行している中でそういうことはあるのでしょうか。

そうですね。最初にウイルスが確認された中国が隣に位置していますし、茂木外務大臣は北朝鮮に感染者がいないのは「人類史上、考えられない」と指摘しています。また「多数の死者が出ているようだ」と伝えるメディアもあります。

――そもそも北朝鮮の国民はウイルスの存在を知っているのでしょうか。

連日国営メディアなどで放送されているので、知っているとみられます。ただ、その放送の内容で「異例の事態」が起きています。

北朝鮮国営メディアである朝鮮中央テレビのタイムテーブルでは、ニュースが報じられるのは通常17時と20時の2回で、合わせて約30分ほどなのです。「異例の事態」というのは世界に感染が拡大し始めた2月中旬頃から、この30分の内の15分ほど、ニュース尺の半分を使い、新型コロナウイルスを巡る世界の動きを連日報じていることです。

また、防護服を着た医療関係者が消毒液を噴霧する映像や手洗いの方法をレクチャーする映像を頻繁に流し、国民に「予防の徹底」を促しています。こうした映像が繰り返し放送されていることからも、北朝鮮がいかに警戒しているかが分かります。

――日本では不要不急の外出自粛など対策を強めていますが、北朝鮮でも何か対策をしているのでしょうか。

「海外からの帰国者とその接触者、感染が疑われる症状を示す人」を30日間隔離するなど、感染防止策を強調しています。また、最重要の貿易パートナーとされる中国との国境が1月の段階で封鎖されたと韓国メディアは伝えています。

――北朝鮮といえば中国に経済面で依存しているイメージですが、封鎖しているのですね。金正恩委員長に関してはどのように報じられていますか。

これまで北朝鮮の報道の中で金委員長がマスクをした姿は確認されていません。そんな金委員長に対し、AFP通信は「新型ウイルスを恐れておらず、感染を超越した存在だと国民に示したいのかもしれない」とする専門家の分析を伝えています。

――強さをアピールしているようですね。一方、北朝鮮といえばここ最近、頻繁にミサイルを発射している印象を受けるのですが…。

2020年に入り1月、2月と一度も発射していなかったのですが、3月に入り2日、9日、21日、29日と急にペースを上げ、4回も飛翔体を発射しています。

――ほぼ毎週のように発射しているのですね。新型コロナウイルスとミサイルの発射には何か関連があるのでしょうか。

軍事力を着実に強化する姿勢を強調することで、新型コロナウイルスの感染が北朝鮮国内で広がっているとの見方を否定し、体制の引き締めを図る狙いもありそうです。

【the SOCIAL inputより】