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「一斉休校」舞台裏 見えた政権内の“溝”

2020年3月21日 18:11
「一斉休校」舞台裏 見えた政権内の“溝”

20日、一斉休校の要請を延長しないと明らかにした安倍政権。
国民生活を混乱させた一斉休校の要請だったが、その政治判断をめぐって、一枚岩だった安倍政権の溝も見えてきた。

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休校中も学校を開放している東京・港区立白金小学校。職員室では、先生が学校再開にむけた準備などを行っていた。また、体育館では来週行われる卒業式のリハーサルが。

“一斉休校”から3週間。政府による休校の要請は、突然のことだった。

港区立・白金小学校 花井拓也教諭「正直に、かなり衝撃でした。(職員室の)テレビで知りました」

港区立・白金小学校 福田和寿美教諭「子供たちと過ごす時間があっという間になくなってしまって」

(先月27日)
安倍首相「来週3月2日から春休みまで臨時休業(休校)を行うよう要請します」

先月、安倍首相が発表した一斉休校の要請。これは安倍首相による突然の「政治判断」だった。判断に大きくかかわったのは…安倍首相を1次政権のときから支える今井尚哉首相補佐官。経済産業省の官僚で“側近中の側近”。官邸でも安倍首相の後ろに控える姿がたびたび見られる。

通常、危機管理の際は、安倍首相や今井補佐官のほか菅官房長官、杉田官房副長官も加わって判断し、各省庁に指示している。

ところが今回の休校措置は、今井補佐官が強くすすめたもの。菅長官らは当日の午後まで知らされていなかった。地域ごとの休校がよいと考えていた菅長官。

周辺によると――
菅長官に近い議員「菅長官は、今回の要請は自分の考えと違う話になり不満だった」

さらに、安倍首相側近でもある萩生田文科相も当初、一斉休校には反対だった。

萩生田文科相「3日間ですべての(休校の)準備をするということに対しては、かなり無理があって、結果的として現場にご迷惑と混乱を与えている」

また1週間後(今月5日)には――
安倍首相「(中国・韓国)両国からの入国者に対する検疫を強化し」

中国と韓国に対する、事実上の入国制限を発表。この判断についても菅長官は決定前日の段階で知らなかったという。これまでにはなかった、安倍政権内の足並みの乱れ。

官邸関係者らは――
官邸関係者「イニシアチブが今井補佐官寄りになっている」

自民党議員「官僚は、国民に選挙で選ばれたわけではないのに力を持ちすぎている」

こうした中、各省庁との調整がなかったことの「弊害」も浮き彫りになった。

実は、萩生田文科相は要請のあと、ただちに学童などの対応について発表するはずだった。しかし、安倍首相が直前になって休校期間を「2週間」から「春休みまで」と変更。文科省側は混乱し、同時に対応策を発表することができなかった。発表の遅れは学校現場や保護者の混乱に拍車をかける形となった。

未知のウイルスへの対応がせまられる中での「政治判断」。その意思決定のあり方が問われている。