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「プロスポーツと地域活性化」なぜ卓球で?

2020年2月18日 18:50
「プロスポーツと地域活性化」なぜ卓球で?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今日のテーマは、「プロスポーツと地域活性化」。琉球アスティーダスポーツクラブ代表・早川周作氏に話を聞いた。

政府は「日本再興戦略2016」で「スポーツの成長産業化」を掲げ、2015年に5.5兆円であったスポーツ市場の規模を2025年には15.2兆円まで拡大する方向性を示しました。

スポーツ産業が「医療/健康」や「観光」など、他産業も巻き込んで国内の経済成長に寄与することと、あわせて、地域のスポーツチームなどとの連携による地域活性化やアジアなどの諸外国からのインバウンド需要の取り込みなどが期待されています。


――そこで、早川さんに「プロスポーツと地域活性化」についてご意見をうかがいます。まずはフリップをお願いします。

「有志有途(ゆうしゆうと)」です。これは志あるところに道は開けるということです。

私は今回スポーツチームを引き受けましたのも、実際に以前もある一定のプロチームからお話をいただいたりですね、社長やってくれというお話をいただきました。しかし、今回、卓球という球技に着目をいたしました。たまたまTリーグというプロのですね、リーグが開幕する際に、チェアマンから、いわば卓球というのは強い地域、強い者のためではなく、弱い者、弱い地域のために働く。そういったスポーツだと僕は思い、今回、引き受けました。


――ということはお話いただいてからそんなに考える時間はなかったんじゃないですか?

30分で引き受けまして、またキラーフレーズがですね「5歳で始めたスポーツで、15歳でメダルが取れる可能性がある」。


――確かに、福原愛選手のことを思い出しますと、すごいですもんね。それで2018年にTリーグが開幕して、琉球アスティーダの代表に就任されたわけなんですが、なぜ沖縄なんでしょうか。

これが、貧富の格差がものすごくある地域でございます。その中で、やはりこれだけの貧富の格差がある中で、お金をかけずして、できるだけ少額でチャンスが与えられる。それが、卓球。そういったご意見をいただいて、私は先ほど申し上げた「5歳15歳でまたお金をかけずして貧富の格差を是正できる可能性がある。また貧富の格差を是正しながら、チャンスを与えられる可能性がある」。

このフレーズが、まさに「有志有途」、この志にぴったり来るなと思いまして、30分で実は引き受けてしまいました。


――その沖縄から、いわゆる日本やアジア世界へという言葉は、いわゆるボクシングでいうと、かつては浜田剛史さんとか具志堅用高さんが沖縄から世界に名をとどろかせましたが、それを卓球で今度はやっていこうと。

そうでございます。沖縄からオリンピック選手をというところで、今卓球教室をやったりですね、もろもろの事業で飲食店やったり、鍼灸(しんきゅう)院やったり、いろんなことをやりながら資金を作り、選手を獲得し、それを繰り返しながら現在、沖縄からオリンピック選手を出すために取り組んでいます。


――実際に所属選手というのはどんな選手がいるのでしょうか?

現在Tリーグで我々が所属していただいている選手は、例えば福原愛ちゃんの旦那さんだとか、台湾のトップ選手とか、また吉村真晴といってですね、リオデジャネイロオリンピックでメダルを取った人間だとか、外国人を中心としながらも面白い選手をたくさん獲得しています。


――その中で、今回の大きなテーマの一つですけれども、このスポーツチームなどとの連携による地域活性化、いわゆる沖縄が卓球で地域活性できるかどうか。この辺りのポイントは、この先いかがでしょうか。

スポーツというのは、私は、夢と感動を与えるものだと思っています。その中で、いわゆる沖縄の子どもたちが夢を持ち、また感動し、心が動かされ、また選手の夢を一緒に共有したりとか、そういった意味でマインドもそうですし、また卓球大会をやる、世界大会をやる、また観光ツーリズムでもそうですし、そういった意味でお金も入ってくる、そういった意味で「スポーツ×地域活性化、地方創生」。 そういった意味で「スポーツ×○○」というのが、今後はどんどん成長していくと思っています。


――一方で、スポーツ選手ってオリンピックでいくらメダルをとっても、なかなか恵まれない。ベルトを巻いたボクシングのチャンピオンでも、そのあとはどこで今働いているの?というところがある。スポーツ選手の未来を考えるとお金って大事じゃないかなと思うんですけども。

おっしゃる通りです。いわゆるスポーツ選手というのは非常に経営に疎い、また、周りの方々からいいことを言われて、そういう話に乗ってしまう。我々は、やはり卓球教室のFC展開をしていったり、我々「卓球バル」といってですね、おしゃれな空間に卓球台を置いて、またいま、パブリックビューイング用のバルを持ったり、そういった飲食店だとか卓球教室、鍼灸院とか事務とか我々のノウハウを使って、それを提供して、フランチャイズで確実にお金が残るようにする。そういったセカンドキャリアのところも、我々は、選手に責任を持ってサポートしていきます。


――ということは将来的にはどういう方向性に持っていくのですか。

例えば選手が引退したとしても、もう工場で働いているとかではなくて、我々のチームの選手たちは、スポーツ選手をやめた後も、しっかりと稼げる。今の選手以上に良い生活ができる。そういった環境を作っていけるように、責任を持ってサポートしていきたいと思っています。


■早川周作氏プロフィル
琉球アスティーダスポーツクラブ代表。大学在学中の20代前半から、学生起業家として数多くの会社の経営に参画。政治の世界に身を転じ、羽田孜元首相の秘書を2年半務めた。2005年には衆議院選挙立候補するも次点で落選、再びビジネスの世界へ。ベンチャー企業の支援などを手掛ける一方、自らも数多くの企業の経営に携わっている。2018年、卓球のプロリーグ「Tリーグ」の開幕にあたり、沖縄のチーム「琉球アスティーダ」代表に就任。プロスポーツの世界に飛び込んだ。

【the SOCIAL opinionsより】