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旅を通じた五感の情報で創造力培う イノ旅

2020年2月17日 14:48
旅を通じた五感の情報で創造力培う イノ旅

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「『旅』と『教育』を組み合わせた『イノ旅』」。ANAホールディングス デジタル・デザイン・ラボの大下眞央さんに話を聞いた。

2月1日、ANAホールディングスによる学習ツアー「イノ旅」の説明会が開催され、高校生ら35人が参加しました。「革新」などを意味する単語「イノベーション」にちなんだ、この「イノ旅」は高校生が旅先で、自らの五感を使って情報を集めながら、地域の課題解決に向けたアイデアの提案を行うもので、創造力や考えを発信する力などを養いたいとしています。

第1回は、4月1日から2泊3日で宮崎県新富町にて行われます。

ネット上では、

「各地でこの企画をして欲しい」
「地域にとっても関係人口増やすチャンス」
「家や学校でない場所と出会うのはいいこと」

などのような意見がありました。この話題について大下さんのご意見をうかがいます。


――まずはフリップをお願いします。

「現代版 可愛い子には旅を」と書きました。

昔から「可愛い(かわいい)子には旅をさせよ」とよく言われていると思うのですが、AIやテクノロジーが進んできている今の時代、インターネットで調べると何でも情報が手に入ります。しかし、そういう時代だからこそリアルに自分で一次情報を取りに行って、そこから課題などを見つける力が大事だという思いでこの言葉を書きました。

――確かに今、情報こそあふれていますが、同じくらいそれに対して実際触れているかというとそうではないですよね。

本当にその通りで、今までの社会ですと、型にはまった知識や平均的に学力をつけるということがすごく大事でしたが、これからは自分で考えて価値を見つける創造力といったものが必要です。それは旅を通じた五感から得る情報から得られるのではないかなと思うので、どんどん外に出ていってほしいと思います。

――ネット上の反応で、「地域にとっても関係人口を増やすチャンス」という意見もあったのですが、これについてはいかがですか。

まさに関係人口につながるかなと思います。去年の8月にトライアルで実施をしたのですが、そのときに参加してくれた高校生からも、「もともと東京出身でふるさとがないことが悩みだったが、地域と関わったことで第2のふるさとができた」という声をいただくことができました。

――それは、地域の方にとっても発見のようなものがありそうですね。

そうですね。地元だからこそ気づかない強みを、外から来た高校生が発信することで気づかなかった地域の良さなどを、事業者さん自体が、地元の方が気づくことができるということがあります。

――そういった意味で、双方にとって世界を広げることにつながりますかね。

そうですね。

――教育カリキュラムに導入したいという学校もあると聞いたのですが、そういう声は届いていますか。

実は、来年5月に都内の高校の1学年のカリキュラムの中に「イノ旅」を導入していただくことが決まっておりまして、一緒に作っていく予定です。

――私は修学旅行がこういう形だったらよかったなと感じました。

おっしゃる通りで、観光客としてだけではなく、地元の方と密にコミュニケーションをとって“自分ごと化”できる。こういう少数人数で密な体験ができる、関心に合わせて行きたい地域に行けるプログラムが修学旅行の新しい形になっていくのではないかと思っています。

■大下眞央さんプロフィル
ANAホールディングス デジタル・デザイン・ラボ。ANAと教育団体「i.club」が共同で提供する「イノ旅」の責任者を務める。「イノ旅」は地域密着型の教育プログラムで、都会の高校生が日本の地方を旅しながら、未来をつくるイノベーティブなアイデアを考案。五感を使って情報を集めながら、創造力や思考力を養う。空港のグランドスタッフとしてANAグループ企業に入社した大下さんは、自ら手を挙げて新しいことに挑戦し続ける部署、デジタル・デザイン・ラボへ異動。新規事業を検討する中で都市から地方に行く人が増えれば、イノベーションが起こるのではと実感。「イノ旅」をスタートさせた。

【the SOCIAL opinionsより】