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2020トレンド予測 注目は「おもて無」

2020年1月24日 15:58
2020トレンド予測 注目は「おもて無」

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「2020年 トレンド予測」。日本テレビ経済部の福井由紀子デスクに話を聞いた。

今月20日、リクルートが発表した「今年のトレンド予測」。その一つが…。

『2020年のキーワードは“おもて無グルメ”!』

都内にある、こちらの焼き肉店。お客さんが向かったのは、なんと飲み物の自動販売機。欲しい飲み物は、この販売機で買うのだといいます。さらに…トングや調味料はセルフサービスとなっています。注文も、お客さんが自分のスマホで行います。「食べ物以外」はお客さんが自ら全部用意するセルフ式の焼き肉店です。

また、こちらは、食券制のフランス料理店。券売機には牛フィレや子羊など高級メニューが並んでいます。食券を買うと同時に、厨房へオーダーが入るため、食券を渡す手間がありません。高級料理を安く提供するために、人件費の掛かる注文、配膳などのサービスを削っています。サービスを最小限に抑えることで料理を少しでも安く提供する。それが「おもて無グルメ」です。

――おもてなしがないということで、「おもて無グルメ」なんですね。

はい。外食の消費税が10%となり、割高感が出ている中、飲食店側もいろいろ工夫をしているのですね。また、店側にとっては人手不足への対策という面もあります。外食業界の人手不足は深刻でファミリーレストラン最大手のすかいらーくHDは、今週、24時間営業を全店で段階的に廃止すると発表しました。

――飲食店も働き方改革を行っているのですね。

人手不足を背景にした働き方改革といえば、今回のトレンド予測には「出勤オフ派遣」も選ばれました。これは、介護や育児、副業との両立など事情のある派遣スタッフが派遣先での勤務と在宅でのテレワークなどを組み合わせることで活躍するという予測です。

そして、「職住融合」。こちらは、テレワークの普及により自宅で働く人が増える中、家の間取りの一部をオフィスっぽくするリノベーションなどがトレンドになる、という予測です。今年は東京オリンピック・パラリンピックの期間中に在宅勤務とする企業もありますし、こうした言葉が複数選ばれている通り、テレワークが一気に広がるとみられています。

――私もいまパン教室に通っているのですが、先生が自宅で教室を開けるようにしていました。

それは職住融合といえるかもしれませんね。

そして、すでにテレワークを実践している人たちの声をふまえたトレンドも生まれ始めています。例えば、テレビ電話で自宅と職場をつないで会議をする場合、「自宅の生活空間が職場の人に丸見えになるのは嫌だ」という声があります。

――背景に映るカレンダーであったり、タオルなど生活感が人に見られるのは恥ずかしいかもしれないですね。

そこで、目隠しになるようなパーティションやスクリーンを用意する人が増えているそうです。

――パーティションくらいなら取り入れやすいかもしれませんね。

そうですね、リノベーションよりは手軽だと思います。テレワークの普及とともにおしゃれなパーティションの需要も増えるかもしれません。また、会社や自宅、サテライトオフィスなど、場所を移動しても仕事がしやすいようにするというグッズも注目されているそうです。渋谷の雑貨店ではテレワークで使えるグッズを集めた特設コーナーを設けていました。

ノートパソコンやスマホ、デスク回りのものをまとめて収納するグッズもあり、「立てて使うことができるので、カフェのテーブルや自宅の狭いスペースでも仕事がしやすい」と、うたっています。渋谷ロフトによりますと、このようなテレワーク向けのグッズは今後、新商品が増えるということで、春の注目と位置づけています。

――こんなに充実しているとは思いませんでした。

一方で、今回のトレンド予測の先をゆくトレンドも、もうそこまで来ています。今年はいよいよ、5Gのサービスが開始されます。5Gでさらに通信が高速・大容量になれば、いまはテレビ電話などで行われている会議も、VR化できるかもしれません。すると、バーチャル空間にあるオフィスに自分や同僚にそっくりのアバターが“出勤”したり、自宅に居ながらにして、視界も音もオフィスにいるような感覚で隣の人に話しかけたりして、仕事ができるようになります。

――アニメで見ていた世界が、実現しようとしているのですね。

今年は「オフィス」の概念も、私たちの「働き方」もさらに変わる年になりそうです。

――そもそもこの予測って、どのくらい当たるのでしょうか?

例えば去年、2019年にトレンド化すると予測されていたものを見てみましょう。

「デュアラー」
「職場スカウト採用」
「学び場イト」
「サロ友」
「ポータグルメ」

などが予測されています。

――このデュアラーというのは、聞いたことがないですね…。

デュアラーとは、都心と田舎、2つの拠点を行き来することでそれぞれの良さを楽しむ人のことです。従来の「定年後の別荘暮らし」などというイメージとは違って、20代・30代の現役世代が空き家やシェアハウスを利用してもっと手軽に行き来するということでした。デュアラー、どうですか?

――あまり、一般的にはなっていない気がします…。

一般的になっているかというとそうではないですが、確かに私の友人にも1人、デュアラーに当てはまる人がいます。企業側はキャッチーなネーミングをすることで、トレンドにしたいねらいもあるようです。

こうしたトレンド予測は年末年始にかけて発表されるものが多く、今年も一通り出そろったかなと思います。やはり今年は、「人手不足」や「働き方改革」を背景にした予測が多い印象です。トレンド予測には、その時々の社会環境が反映されます。当たる・当たらないを楽しむだけではなくて、私たちがいま抱える課題を考える材料としたいですね。

【the SOCIAL opinionsより】