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ゴルフ場はノンゴルファーにどう向き合う?

2020年1月22日 15:07
ゴルフ場はノンゴルファーにどう向き合う?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「ゴルフをしたことがない理由」。ゴルフ場を運営する株式会社セブンハンドレッド代表の小林忠広氏に話を聞いた。

CCCマーケティングが「ゴルフに関するアンケート調査」を行いました。1年以上ゴルフをしていない、またはゴルフをしたことがないノンゴルファーに「ゴルフをしたことがない理由」を聞いたところ、

「ゴルフ用品が高い」
「ゴルフウエアや靴などのアパレルが高い」
「ゴルフ場でのプレーフィーが高い」

など、費用がかかると考えている人が多いことがわかりました。(全国男女/20~79歳ゴルファー1005人 ノンゴルファー1019人 2019年12月「Tアンケート調べ」)

ゴルフをやらないことについて、ネット上では

「金がかかるし行くのに車がいる」
「仕事のつきあいでやったほうがいい」
「ほぼ丸1日時間がかかってしまうのが難」

などのような意見がありました。この話題について小林さんのご意見をうかがいます。


――まずはフリップをお願いします。

「世界一なんでもできるゴルフ場」と書きました。

先ほどのお話の中であったと思うのですが、ゴルフに対しての「ハードルが高い」というイメージはある種、ゴルフ場が作ってきてしまったのではないかと思います。ゴルフ場がハードルを高くして、お客様がゴルフ以外の取り組みをできなかったり、ゴルフ場に新しい価値を吹き込めていないのかなというのを感じています。そこで、僕がやっているゴルフ場セブンハンドレッドでは、「世界一なんでもできるゴルフ場」というのをミッションに掲げて、いろいろなゴルフ以外の取り組みをしていく中で、まずはゴルフ場に足を運んでもらって、その魅力を感じてもらう。それによってゴルフを好きになってもらうという流れを作れないかなと思っています。

――具体的にはどのようなことをされていますか。

具体的には、フットゴルフというスポーツがあります。今までゴルフ場ではゴルフ以外がなかなかできなかったのですが、サッカーをやっている方が結構いらっしゃるので、思いっきりボールを蹴りたいという方がゴルフ場でサッカーボールを蹴って、大きな穴を目指して蹴っていきます。

――それは子どもも参加できるのでしょうか。

女性の方も結構楽しんでいただいていて、この前60歳ぐらいの女性が東京からわざわざいらっしゃって、「すごく楽しかった」と言って、また次の日も日帰りで来てくださった。なかなかゴルフのように激しい運動ができない方も、少しボールを蹴れる方だったら楽しめます。

――フットゴルフがまず一つだとして、そのほかにもあるのでしょうか。

あとはいま、バーベキュー会場を作っていまして、ゴルフ場の自然環境の中、きれいな青空、芝生の上で寝転びながらなど、楽しみながらバーベキューができます。さらにゴルフ場は敷地がとても大きいので、敷地をいかしてサッカー場を作っています。ゴルフ場でサッカー場というと、「どっちなの」って思われる方もいるかもしれませんが、地域の真ん中にゴルフ場があるので、サッカー場をつくった上でカフェもつくって、例えば子どもが試合を行っている間、保護者の方々は飲食をしたり、お風呂に入ったりしながら、子どもたちを見守れるといった環境を作ることができないかなと思っています。

――ゴルフ場は私も行くので分かるのですが、サウナがあったり、お風呂があったり、レストランがあったり、実はいろんな施設がありますよね。

おっしゃる通りです。僕らはゴルフ場という場所が地域のイオンみたいな複合施設になっていけばいいなと思っています。なかなかゴルフ場というと「ゴルフ」のイメージが強いですが、「週末晴れたからゴルフ場行こうか」という会話が生まれるようになればいい。お父さんはゴルフを楽しんで、お母さんはおいしい料理を楽しんで、お子さんはゴルフでもフットゴルフのサッカーでも、もしくは自然を使った遊び、たとえばクワガタを探すとか、落ち葉を集めてたき火をして、焼き芋を食べてみるといった経験をゴルフ場でできるようになればいいなと思っています。

――みんなで楽しめるゴルフ場ということですね。こうやっていろいろなコンテンツを用意していくことで、それぞれいろいろなお客様にアピールできるようになりますね。

話を戻しますが、ゴルフ場は今までゴルフをする方のみにお客さんの対象を絞っていた。それに対して僕たちは、ゴルフ場に来ていただけるみなさまがお客さまだと思っています。もちろんゴルフ場としてゴルファーの方への魅力をより高められるようにいろいろな施策を行っていきますが、いわゆる“ノンゴルファー”ゴルフをしない方々にも楽しんでいただけるゴルフ場になっていくと、そのゴルフ場が地域に残っていく意味ができるのかなと思っています。その結果、「ゴルフやってみたい」と思って、「やってみると楽しいね」と思っていただいて、ゴルフとゴルフ以外の楽しみを求めてお客様が来てくださるようになれば、いろいろなハードルもクリアできるのかなと思っています。

――ちょっと遊びに来た子どもがゴルフに興味を持つかもしれないですよね。

うちのゴルフ場でゴルフが好きになったという言葉が聞けるようになればいいなと思っています。

■小林忠広氏プロフィル
株式会社セブンハンドレッド代表。栃木県にあるゴルフ場の3代目経営者を務め、ゴルフ場の枠組みを新たにすべく、地域の人の居場所になるように改革している。2020年にはフットゴルフのワールドカップを開催する予定など、様々なイノベーションに取り組んでいる。ゴルフ場の3代目として生まれ、学生時代はラグビーに打ち込み、スポーツに関わるNPOの立ち上げなどを行った。大学院卒業が近づく頃から、卒業後は家業を継ぐことを意識するようになり、2017年より経営に関わり、2019年に代表取締役に就任した。今後、地域企業との連携やゴルフ場の競技以外への活用も進めていく。

【the SOCIAL opinionsより】