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子どもの体力低下 解決の鍵は遊び場づくり

2020年1月16日 13:58
子どもの体力低下 解決の鍵は遊び場づくり

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「子どもの体力低下」。株式会社スポコン代表、NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブ理事の石渡圭輔氏に話を聞いた。

全国の小学5年生と中学2年生を対象にした今年度の体力調査。全体的に持久走や50メートル走のタイムが大きく低下し、小学5年生の男子児童は調査開始の2008年以降最低の結果となりました。スポーツ庁はスマホやゲームなどで遊ぶ時間が増え、運動時間が減ったことが背景にあるとしています。

ネット上では

「遊ぶ場所がなければ、体力低下は当たり前」
「運動が苦手でも、楽しめる授業があれば」
「子どもたちは公園でスマホやゲームしている」

などの意見がありました。この話題について石渡さんのご意見をうかがいます。


――まずはフリップをお願いします。

「意欲と場所」と書きました。

まず、僕らが子どもの頃と大きく違っているところでいうと、僕らは遊びの中で自分の体力が培われるという経験を知らず知らずのうちにしていた世代だと思います。そういう意味でいうと、子どもってやっぱり遊ぶことが大好きですし、楽しいことが大好きなので、そこにすごく高い意欲があります。そういう部分があって、外に出てみんなで野球をしたり、サッカーをしたり、かくれんぼをしたりというような遊びの中にスポーツの要素があって、体力がちゃんと培われたということがあったと思います。しかし、なかなか今はそういう場所が少ないのかなというふうに思っています。

――石渡さんはそういう中でもいろいろな活動を子どもたちとされていますが、どうやって場所は確保されているのでしょうか。

場所に関していうと、僕は事業としてやる中で、例えば自治体さんや大学といった、ちゃんと自分たちで場所を持っている方々とタッグを組んで事業をするという形が多い。そうするとちゃんと子どもたちがスポーツをするための場所を用意できます。

――ただ一方で、場所が確保できない子どもたちもなかなか多いなかで、そういった子どもたちのためにできることはどういうことでしょうか。

僕のやり方の中で直面しているジレンマは、事業化することによってスポーツを楽しみながら良い場所でやるっていうことを享受できる子と、そうじゃない子の差が生まれてしまうという部分はすごくあります。「スポーツの習い事化」みたいにいわれたりするのですが、そこは自分も事業をやりながらすごく大きく、ジレンマとして持っています。

今後については、自治体やNPOなど、要は大きな場所を持っていたり、新しい仕組みを考えたりすることができる人たちが意思決定をして、子どもたちが高い意欲を持って遊びながら体力を増進させていくことができる環境をみんなで作っていくことが大事なのではないか。

――いろいろなところから人が集まって、場所の確保ができていけばいいですね。

本当にマイナースポーツはスポーツする場所自体がないので、河川敷とかでやったりするのですが、そういったところもなかなか災害で環境が整わなかったりする。なので、みんなで良い環境を作っていきたいなと思います。

■石渡圭輔氏プロフィル
株式会社スポコン代表、NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブ理事。子どもたちがマイナースポーツを通じて、新しい可能性にチャレンジできる環境作りに取り組む。また学生たちが部活動を“自分ごと化”するため、ビジョンや目標を学生自らが考えるプログラムを提供。スポーツ指導を行っている指導者に対しても、選手が競技結果と人間的な成長を両立できるような考え方の普及活動を行っている。

【the SOCIAL opinionsより】