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陸自精鋭「第一空挺団」死と紙一重の舞台裏

2020年1月13日 19:24
陸自精鋭「第一空挺団」死と紙一重の舞台裏

陸上自衛隊の精鋭部隊「第一空挺団」は有事の際、真っ先に投入される。その第一空挺団で死と隣り合わせで行われる恒例の降下訓練、隊員の命を守るための舞台裏を取材した。

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12日、陸上自衛隊の千葉・習志野駐屯地を河野防衛相が訪れた。訓練を体験した後、日本で唯一のパラシュート部隊・第一空挺団の「降下訓練始め」を視察した。

訓練は、離島が敵に奪われたことを想定して行われ、奪還するため輸送機などから次々に隊員たちが降下した。

この精鋭部隊、実はある女性たちの“匠の技”に支えられていた。

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第一空挺団の隊員は約2000人。厳しい選考を経た、いわばエリートたちだ。

時速240キロで飛行する輸送機からの降下を想定した訓練では、一つ一つの動作を大きな声で確認していた。

これまでに122回も降下を行ったベテラン隊員、第一空挺団最先任上級曹長の「かり(※草冠に列)田智郎」准陸尉は「非常に危険を伴う訓練でありますので、日々厳しい訓練を追求して実施をしております」と話す。

空挺隊員の装備は重さ60キロにもなるため、きちんと受け身をとらないと着地の際に大ケガをする恐れがある。

さらに、支援が得られない困難な条件でも真っ先に投入されるため、通常の部隊より厳しい訓練が必要なのだそうだ。

かり田准陸尉「“鬼軍曹”であらなければならないなということは常々思っています」

使用したパラシュートを点検する落下傘整備工場で作業していたのは整備資格を持った空挺隊員。

一人一人が責任を持って点検することで、74万回を超えるこれまでの降下で整備不良による事故は一度も起きていないという。

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パラシュートを扱う部署の中には女性たちが中心となっているところもある。

千葉・松戸市の関東補給処松戸支処では、資格を持った女性の技官が全てのパラシュートについて、年に一度行われる検査と修理を担当している。

技官が何かを見つけた。よく見てみると、鉛筆の先よりも小さな穴。

―Q.どうやって見つけた?
検査班・齊藤恵里技官「なんとなく違和感があるというか、なんて説明したらいいのかわからないですけど、これが広がった時に裂けてしまう可能性が出てくるので」

1ミリ以上の穴は修理が義務づけられていて、パッチをあてミシンで丁寧に縫う。

整備班・青木代利子技官「命に関わる仕事をさせてもらっているので、一目一目縫う時でもそれは考えながら」

かり田准陸尉「彼女たちもプロフェッショナル。安心して降下することができます」

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12日、演習場には技官たちの姿もあった。

青木技官「『あぁ、良かった』と思っちゃう。(パラシュートが)開いた時には」

厳しい訓練と責任感で磨かれた技で、パラシュート部隊は成り立っていた。