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高級ホテルを国が整備 何が求められる?

2020年1月8日 16:32
高級ホテルを国が整備 何が求められる?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「高級ホテル 国が整備!?」。ディスカバー・ジャパン代表の高橋俊宏氏に話を聞いた。

2019年12月9日、菅官房長官が地域経済活性化のため、日本各地に外国人観光客が長期滞在できるような世界レベルのホテルを今後50か所程度新設することを目指す方針を示しました。

菅長官は「我が国は、世界レベルのホテルが不足していると言われている。こうした施設を整えれば、さらに地域経済への波及的な効果が大きくなる」と指摘しました。

国が長期的に低金利で資金を貸し出す「財政投融資」を活用することで民間金融機関からの融資の呼び水にしたいとしています。

ネット上では

「観光立国になるには、富裕層対策は必要」
「地方に高級ホテルを作ってやっていけるの?」
「果たして国がやることなのかどうか」

などの声がありました。この話題について高橋さんのご意見をうかがいます。


――まずはフリップをお願いします。

「賛否両論」と書きました。

確かに1泊100万円クラスのホテルは日本にないんです。海外の富裕層レベルからいうと現状は物足りないので、整備を進めるのはアリだと思いますが、当然その地方にある旅館やホテルの民業圧迫になりますので、国のお金を使っていいのかという話もあります。

――このような国策というのは以前にもあったのでしょうか。

1930年代ぐらいですね、上高地帝国ホテルとか雲仙観光ホテル、赤倉観光ホテルは今でもあるクラシックホテルですが、まさに国策でつくられた物が残っています。だからその現代版というような感じがするのですが、僕がちょっと思うのは1泊100万円となるとハードをいくらゴージャスにするといってもどんな部屋になるのか。ダイヤモンドや金箔(きんぱく)がいっぱい置いてあるのかと思うじゃないですか。そうではなく、実際僕も海外のリゾートに取材で泊まらせてもらうことがあるんですが、ソフト面を充実させてほしいと思っています。当時UAEでハードはそこそこいいんですが、印象的だったのはディナーです。砂漠の真ん中にゲストのためにテーブルをしつらえて、バトラーがついてお食事を出してくれるサービスをしてくれました。

――すごいリッチですね。

そうなんです。本当にそういったその場所・その土地・その時間じゃないと味わえないことをうまくコンテンツにして、それでサービスとしてお金を取っている。今回も国策ではありますが、そういう地方ならではの地域の魅力をうまくホテルのコンテンツとして提供する。加えて提供するのが地元の業者の方々になることによって地域経済にお金が落ちる、といったところまで考えてほしいなと思います。まさに地域の魅力を再発見した上で高級ホテルを整備してほしいです。

――ソフトを充実ということですね。日本ならではの良さを出していきたいですね。

はい。例えば奈良であれば、朝、若草山に早朝に登って東大寺の鐘を聞きながらヨガをする。で、山を下りると茶がゆが待っているといったことをコースにすることによって、それで数万円とかを取れると思います。そういうことをやっていくと、地域経済にも潤いがもたらされると思いますね。

■高橋俊宏氏プロフィル
ディスカバー・ジャパン代表。出版社で建築やデザイン・インテリア雑誌の編集を経て、2008年に雑誌「Discover Japan」を創刊。日本文化の魅力を発掘、発信し続けた。そして2018年にそのブランド力を生かし、さらなる展開を視野に株式会社ディスカバー・ジャパンを設立。2019年12月には代表取締役社長に就任。情報発信にとどまらず日本文化の魅力をイベントや新規事業の開発に結びつける「日本文化のプラットフォーム」を目指す。

【the SOCIAL opinionsより】