家解体される前に、家族の日常を映像に残す
原発事故さえ起きなければ…我が家とその思い出が壊されていきます。解体された我が家はガレキになり、最終処分場に埋められます、放射性廃棄物として。
原発事故の後、初めて子どもと一緒に実家を訪れた野上美和さん。勉強に恋愛、昔の自分が今もここにいます。
美和さん「ママのトロフィー!これ」
子ども「ねぇ、これちょうだい」
美和さん「いいよ」
父の利之さんは、この家を解体することを決めました。国が解体の費用を負担してくれる期限が迫っていたからです。そんな我が家の最後の姿をドローンで撮影してもらうことにしました。
撮影を手掛けるのは松本淳さん。寄付を募りながらこの活動を続けています。映像にBGMをつけ4分ほどの作品に仕上げます。そこに家族の日常が映されていました。我が家で過ごした日々がよみがえります。
利之さん「我々は一生をここで終わって、次の息子の代に引き継いでいくんだろうなという思いはずっとしていたので」
撮影から4か月後、家は解体されました。
この日は、放射線量が高い地域でドローン撮影。国はこの地域の住民に対し、土地や家屋の売却などを求めています。依頼した渡邉史子さん。夫の忠明さんは、撮影2週間ほど前に病のため57歳で亡くなりました。夫と過ごした我が家…
史子さん「帰りたかったと思いますよ。畳で大の字になってね、寝たいなって闘病中言ってたから」
夫はきっとここに…忘れられない我が家。松本さんは記録を続けます。我が家が放射性廃棄物になる前に。
※2018年6月、福島中央テレビで制作したものをリメイク
【the SOCIAL×NNNドキュメントより】