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“石炭火力の電気”企業も使いにくいワケ

2020年1月6日 15:34
“石炭火力の電気”企業も使いにくいワケ

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「温暖化対策、進むか?」。ニューラル代表・夫馬賢治氏に聞いた。

地球温暖化対策について話し合う国連の会議、「COP25」が去年12月に開催された。温暖化対策の強化を各国に促すことで一致したが、「パリ協定」に必要なルールの一部で合意できず、先送りとなった。

平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする「パリ協定」は2020年から本格的に始まる。

ネット上では「日本の石炭火力発電はどうなるのか?」「COP25ではグレタさんが印象的だった」「アメリカのパリ協定離脱で影響は?」などの意見があった。



――まずはフリップをお願いします。

『正念場』と書きました。「COP25」は日本でも非常に多く話題になりました。小泉環境相が難しい局面に立たされているとか、「化石賞」という不名誉な称号をいただいたとかありますけれども、実際に非常に日本のエネルギー政策が正念場の状態にいます。 

その中でも大きく取り上げられているのが、やはり石炭火力発電所ですね。今回「COP25」がありまして、一部先送りということが出ましたけれども、実際にはパリ協定そのものは今年から始まります。今年から各国、自分たちで定めているCO2を減らさなければいけないということは、間違いなくスタートすることになっています。その中で日本はどうしても石炭火力発電所の割合が多いので、本当に数を減らしていけるのかどうかについては、まだまだ明るい状況ではないというふうに思います。


――改めて日本のスタンスとしてはどういった状況なんでしょうか。

そうですね。日本のスタンスとしましては、これまで日本は石炭火力発電所に高い先進性、最先端の技術でつくってきましたので、ここを何とか使っていきたいというのが本音かなと思います。

しかし、もう気付けば、この5年間、各国で石炭火力発電所をやめる動きが出てきてますし、実際にその電力を使うはずの企業が、もはやもう石炭火力は使いたくないというところまでなってきていますので、一生懸命最先端のものを販売しても、売れなくなってしまっているというのが難しいところですね。


――今、企業という話ありましたけれども、実際その状況としての取り組みは、何かあったりするんでしょうか。

この分野ですね、政府よりも企業や銀行の方が、動きがとても早いです。例えば日本にはショッピングモールで有名な「イオン」という会社ありますけれども。イオンは日本全体で1%という巨大な電力を使っておりますが、すでにイオンも、再生可能エネルギー100%で、全事業を行っていくという方針を明確にしておりますし、この動きをつくっていくために、イオンが“仲間集め”をしている最中です。

ですので、今政府はいろいろな難しさはあるんですけども、政府は再生可能エネルギーのほうにシフトしてきているというのが最近の大きな動きです。


――そういった意味で、よりESG投資にESGというところに注目も集まってくるという話になりますね。

先ほど、ESG投資では、これからの環境規制が追い風になるのかどうかと話をしました。実際に今は、再生可能エネルギーの方が有利な条件になってきていますので、実はこのイオンの動きの裏にも投資家の動きがあります。

株主が「再生可能エネルギーを使え使え」と最近ものすごく言ってきますので、それがあれば使わざるを得ない状況が生まれてきているということができると思います。


――まさに正念場で、変わらなければいけない時ですね。

この1年、この2年でどれだけ方向を変えられるか。本当に正念場になっています。


■夫馬賢治氏プロフィル
ニューラル代表。サステナビリティ経営やESG投資に関するコンサルティングやアドバイザリー業務、ニュースサイト「Sustainable Japan」の運営などをしている。ESG投資とは、環境・社会・企業統治に配慮した経営を評価する投資、金銭的なリターンと社会の持続可能性を両立することが期待できる。夫馬氏がESGに目覚めたのは 米国留学時で、大企業が持続可能性を掲げ、長期の経営目標を打ち出す様子に、「この流れは日本にも絶対くる」と確信し、帰国後まもなくニューラルを設立した。日本企業の将来に対してESGの重要性を訴えている。


【the SOCIAL opinionsより】