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民間の力を活用 米の次世代・宇宙開発とは

2020年1月5日 12:23

2020年は民間企業による宇宙開発が大きく前進する年になりそうだ。アメリカが進める「次世代の宇宙開発」とは――。越智記者が報告する。

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先月、フロリダ州で行われた新型宇宙船の無人飛行試験。実はこれ、民間企業が開発しているもの。NASA(=アメリカ航空宇宙局)は今、ISS(=国際宇宙ステーション)に人を運ぶ宇宙船の開発を民間企業2社に依頼している。

新進気鋭の宇宙企業「スペースX」が開発中なのが新型宇宙船「クルードラゴン」。そしてボーイングが開発中の「スターライナー」だ。

NASAが民間企業を活用する大きな理由は、競争原理による打ち上げコスト削減。一方、民間企業は開発した宇宙船を宇宙旅行ビジネスに活用する狙いがある。

ボーイング商業宇宙飛行担当者「4~6人の民間人乗客が国際宇宙ステーションに30日まで滞在できる、完全な商業飛行サービスの提供も視野に入れている」

2社が開発中の宇宙船は繰り返しの使用が可能で、打ち上げ単価は従来よりも格段に抑えられるとされている。さらにスターライナーのコクピットを見てみると、操縦席にはボタンが少なく非常にシンプルなつくりとなっており、民間人でも操縦しやすい設計となっている。

2社とも今年中に有人飛行試験を終わらせ、宇宙船を完成させるとしていて、今後はNASAをはじめ、様々な顧客が宇宙船の座席を購入することが可能になる。

先月、NNNの単独インタビューに応じたNASAの長官は――。

NASA長官「人類の宇宙飛行にとって、まったく新しい時代だ。2020年、私たちは国際宇宙ステーションに『商業活動』として人を打ち上げることになる」

NASAは、今年から国際宇宙ステーションを民間にも開放して商業利用させる計画を打ち出していて、その実現にも新型宇宙船の年内の完成が欠かせない。民間企業による宇宙開発が一気に加速するのか、それを占う上で2020年は非常に重要な年になる。