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政権交代は可能? 野党再編の行く末

2020年1月1日 3:46
政権交代は可能? 野党再編の行く末

2020年は野党にとって、いかに安倍政権に対抗できる大きな勢力となれるか、勝負の一年となる。

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2019年秋の臨時国会から立憲民主党や国民民主党、社民党などは共同会派を結成した。野党幹部は「衆議院で120人の会派を作れたからこそ、閣僚2人を辞任に追い込み、『桜を見る会』の問題で政権の緩みを追及できた」と胸を張る。

こうした臨時国会での“成果”を受けて、立憲民主党の枝野代表は、「政権交代可能な野党を作る」として共同会派を組んだ国民民主党などに政党同士の合流を呼びかけた。

幹事長同士での協議が進められていて、まずは2020年1月の通常国会召集までに合流が実現するかどうかが焦点だ。ただ、国民民主党内では参議院議員を中心に合流に反対の意見が強く、国民民主党幹部は「分裂は避けられない」と悲観する。

合流に際して、国民民主党内が大きく混乱すれば、これまでも繰り返されてきた野党の内輪もめがクローズアップされることになり、国民の失望を招きかねない。

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また、野党再編の動きにおいては、「れいわ新選組」の存在も無視できない。2019年夏の参議院選挙で2議席を獲得した、れいわ新選組の山本太郎代表は選挙後も全国遊説を続け、各所で大勢の聴衆を集めるなど、“れいわ旋風”の余波は今も続いている。

山本氏らが主催する消費減税に関わる勉強会には、立憲や国民民主党の議員も参加していて、次の衆議院選挙を見据えて山本人気にあやかろうという思惑も透けて見える。

ただ、「消費税率5%への減税」を旗印に野党結集を呼びかける山本氏に対し、立憲民主党幹部は「消費税は次の選挙では争点にならない」と距離を置く姿勢を示している。

山本氏は7月の都知事選への出馬も検討しているとみられ、改めて注目される可能性もある。

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では、2020年の通常国会において、野党はどのような戦略を描いているのか。立憲民主党の安住淳国対委員長は「桜を見る会の問題で安倍首相を徹底して追及する」と意気込む。

臨時国会後半では、野党が求めてきた安倍首相が出席しての予算委員会の集中審議は開かれなかったが、2020年の通常国会では2019年度の補正予算をめぐる集中審議を皮切りに、予算委員会が連日開催されることとなる。

「桜を見る会」をめぐる「税金私物化」問題や、マルチ商法を展開して行政指導を受けた「ジャパンライフ」元会長が首相枠で招待されていたのではないかという問題など、野党は徹底的に追及する構えだ。

また、IR(=統合型リゾート)施設の参入に絡み、収賄の疑いで逮捕された秋元司議員の問題や、かんぽ生命の不適切販売とそれに関する総務次官による情報漏えいの問題なども、厳しく追及していく。

一方で、野党内からは「批判ばかりでは、支持率は上がらない」と懸念の声も上がる。実際に、臨時国会以降、各社の世論調査で内閣支持率は下落傾向にあるが、かといって野党の支持率も上がってはいない。

大きな塊となる野党が、「ただの数合わせ」ではなく、「政権交代が可能」との国民の信頼を得るためには、建設的な政策議論も必要となるだろう。