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働き手増加へ 子育て女性や高齢者の活躍を

2019年12月20日 18:07
働き手増加へ 子育て女性や高齢者の活躍を

総額102兆円を超え、過去最大を更新した来年度予算案。押し上げているのは、増え続ける医療や年金などの社会保障費だ。制度の支え手を増やそうと今、女性などの力を生かす新たな取り組みが始まっている。

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今月1日、埼玉県で開かれたコンサート。会場の一室で、出演者の子供たちの面倒をみている女性たち、実は「あるアプリ」をきっかけに集まった一般の母親たち。そのアプリとは?

子育て中の母親「(子供を)預ける場所が探してもないという状況で…」

自己紹介をしているのは「子育てシェア」というアプリを通じて集まった子育て中の母親たち。このアプリは、母親同士が交流できるもので、利用者は、自宅で子供を預け合ったり、ランチや遊びに誘うことなどができる。お互いに子育ての楽しさや苦労をシェアできるという。

コンサート会場で子供の面倒を見ていた女性たちは、このアプリの運営会社の交流イベントで知り合った。実は、こうした子育て中の母親が今、注目されている。

その理由は、「少子高齢化による働き手の減少」。働き手の減少は、国内の消費活動や税収の低下につながるなど、経済成長の足を引っ張るといわれている。そこで政府は来年度の予算案に、子育てで仕事を辞めた女性の就労支援など、女性の活躍推進に向けて約220億円の予算を付け、働き手の増加を目指している。

この「子育てシェア」アプリを使っている梅田千晶さん(44)。出産を機に仕事を辞め、今は6歳の女の子と3歳の男の子を育てる専業主婦だが、アプリを通じて梅田さんは、「子供を預かる」仕事を始めている。

この日は土曜日で、急に仕事が入った母親から、「2人の子供を朝、1時間ほど預かってほしい」と頼まれたのだ。

アプリを通じて子供を預かる梅田千晶さん「短時間でも預けることができる、臨機応変に対応できるのがすごくいいなと思っていますね」

子供を預かる「きっかけ」になったのは、働く女性が子供を預けられる場所が少ないと感じたため。子供2人を約1時間半預かって、謝礼としてもらうのは1200円ほど。

梅田さん「報酬を頂いているので、社会とつながっているっていう、そういう感覚はすごくあります」

金額よりも、社会とつながる実感を得ることで、就職するときの自信にもなるという。

また、女性と共に働き手として期待されているのは、65歳以上の高齢者だ。来年度の予算案には、高齢者の就労を進める支援策にも、約310億円があてられる。

74歳の谷口さんは、4年前に会社勤めを辞め、自分のペースで働ける「内職」を選んだ。

「内職」をする谷口淑子さん「働ける間は働いた方がいいんじゃないかなって思いますけどね。生きがいにもなるし。安くても少しはお小遣いになるでしょ」

チラシを封筒へ入れる「内職」は、2日間で約1000部を作り、報酬は3000円ほど。

谷口さんのように自分のペースで働く「内職」を選ぶ人や、パートのような短時間労働を選ぶ高齢者もいるなど、「高齢でも働きたい」という人は多いという。

今後、政府は女性や高齢者など多様な人材の就労を促し、働き手を増やすことで、持続的な経済成長に道筋をつけることができるのだろうか?