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宇宙から地球温暖化を見る“北欧にも夏が”

2019年12月9日 16:29
宇宙から地球温暖化を見る“北欧にも夏が”

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見をうかがう「opinions」。今回のテーマは「宇宙から見た地球温暖化」。超小型人工衛星技術の可能性を最大化する為に、世界中のビジネス最前線でチャレンジする株式会社アクセルスペース・CBOの山崎泰教氏に話を聞いた。

地球温暖化対策について話し合う国連の会議COP25が、2日からスペインの首都マドリードで開催されている。今回の会議では、来年から始まるパリ協定に向け、運用ルールの大部分を合意した去年の会議で、積み残しとなった一部について合意を目指す。

パリ協定は2020年以降の地球温暖化対策について、世界の平均気温の上昇を産業革命前から2℃未満に抑えるとしているが、今年もヨーロッパが記録的な熱波に見舞われるなど、温暖化の影響が指摘される被害が各地で相次ぎ、対策は待ったなしの状況だ。


――山崎さんに衛星画像を通じて、地球温暖化の現状について解説していただきます。まずは温暖化の現状を理解する上でのキーワードをお願いします。

「北欧に夏が来た」です。

私は趣味で山にトレッキングに行くんですけれども、特に好きなのが北欧です。北欧と聞くと、夏でも涼しくて過ごしやすいきれいな山のイメージだと思います。それがなんと去年や今年、北欧には珍しく真夏日が続きました。通常ですと30℃という気温はなかなか北欧にはないのですが、山の上でも30℃を超える日が続き、そして実際山火事も起きてしまいました。気候変動によって、北欧にも夏が来てしまいました。


――明らかな変動が起きているということですけれども、ここからは衛星写真を使いながら実際に解説していただきます。まず、どのような仕組みでその衛星写真を分析されているのか教えていただけますか。

(モニターに映像が映る)こちらに見えてるのが、我々のグルースという衛星になります。今、アクセルスペースでは、アクセルグローブという地球の軌道上のインフラを構築していて、数十基のグルース衛星を高度600キロに飛ばして、毎日2.5メートルという解像度で地球を見守りたいと思っています。

例えばここに映っているような農業に貢献できたり、もしくはこのように毎日撮ることによって変化を見ることができるが、農業だけではなく、港を毎日定点観測することによって昨日の状態と今日の状態が見えるようになります。

こういうデータをどんどん蓄積していくことによって、例えば気候変動のデータに貢献できるのではないかと考えています。


――では、実際に起きている気候変動の現状をここからはお願いします。

今、後ろに映っているのは日本の北陸地方のあるエリアの画像です。次にこちらの川に注目してもらいたいのですが、気候変動によって実は川に大きな影響が起きています。

2つキーワードがありまして、川の水位が変化している。そして川の水草が増えてしまっている。この2つの現象が起きています。

川の水位ですが気候変動によって、普段は雪解け水が少しずつ解けていくのですが、あまりにも気温が高くなりすぎて、鉄砲水のように一気に川に流れてしまうというようなことが起きて、その後、水が急激に減ってしまうというようなことが起きています。

また気温が高くなることによって、水草が異常に増えてしまう。これは何が問題というと、例えばですが魚に影響が出てきます。


――この画像の赤くなっているところはなんですか。

実は、何を見ているかというと植生を見ていて、赤いところが、植物が生えているということがわかります。つまり川のこの横のところですね。水草がこの赤いところを見ることによってわかります。これが例えば増えていくことによって、水の量が減っているもしくは水草が増えているということがわかります。

続いての画像ですが、こちらも北陸地方のある森の画像ですが、例えばこれに解析を加えますと、このような形で色分けができます。色分けをすることによって何がわかるかというと、赤い色ほど植物が活性化しているということです。植物にはクロロフィルというものが含まれていて、クロロフィルを見ることによってどれぐらい木が元気かということが分かります。

例えば何が分かるかというと、日本中で今問題になっている、いわゆる“松くい虫”というものがあります。これは木を食べてしまうもので“松くい虫”と呼んでいて、通常は暖かいところにしか生きられないものがどんどん北上してしまっている問題があります。


■山崎泰教氏プロフィル
株式会社アクセルスペース・CBO。金融業界で、企業マーケティング、ブランディングなどに従事。テレビで、宇宙ビジネスについて語る中村CEOを見たことをきっかけに、宇宙に興味を持ち、2017年アクセルスペースに参画。超小型人工衛星技術の可能性を最大化する為に、世界中のビジネス最前線でチャレンジ中。クライアントのビジネスに新たな可能性を生む、全く新しい価値を創出し続ける事が使命だという。

【the SOCIAL opinionsより】