処分される乳牛のオス「食肉」として活用へ
濃厚な味の牛乳が採れるジャージー牛だが、オスの多くは生まれてまもなく処分されている。そのジャージー牛のオスを食肉として活用できないか、有名店のシェフたちが料理を考案し、試食会が開かれた。
2日に都内で開かれたのは、“牛肉”料理の試食会。京都の料亭「菊乃井」や、イタリアンレストラン「ポンテべッキオ」など、有名店のシェフが考えた牛肉料理が並んだ。
記者「赤身の肉なのでさっぱりしていますが、じっくり火を入れているのでやわらかいですね」
うま味の凝縮された赤身が特徴だというこの牛肉。ただの牛肉とは違い、乳牛として人気のある「ジャージー牛」を使った料理だ。
濃厚な味のミルクが採れる「ジャージー牛」。これまで、食肉としては市場にほとんど流通していなかった。
ジャージー牛を育てる神津牧場・須山哲男場長「ジャージーの流通が難しいのは、供給量が安定しないこと。とても肉の量が少ないんです。普通の和牛や肉用に育てられた品種改良された牛と違って、乳牛ですので」
ジャージー牛は、和牛などと比べると体格が小さく、育ててもあまり肉がとれないという。そのため、ミルクがとれないオスの牛は、生まれてまもなく処分され、ソーセージなどの加工品にされていた。
“なんとかジャージー牛の肉を食肉として活用できないか”、そう考えたシェフらは、えさなどを工夫してジャージー牛を育ててきたという。
3年間の苦労の末、2日に試食会が開かれた。
全日本・食学会 高岡哲郎副理事長「今までは畜産に向かないと言われていたジャージー牛を、シェフたちが料理として使うのにふさわしい肉。酪農の中に畜産というものをいれていく、いいチャンスじゃないかと始めた」
主催者は、今後こうしたイベントを通じて、認知度を高める活動をするとともに、肉の味の改良も続けていくとしている。