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認知症の資産200兆円時代、どう備える?

2019年11月26日 13:43
認知症の資産200兆円時代、どう備える?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「進む高齢化、金融資産どうする?」。マネーフォワードFintech研究所・瀧俊雄所長に聞いた。

厚生労働省によると、高齢化が進む中、2030年には認知症になる人が最大で830万人、高齢者の20%以上にのぼると試算されている。また、第一生命経済研究所の試算によると、認知症の人が保有する金融資産は2030年には215兆円に達し、家計金融資産全体の10%を超える見込みだ。


――瀧さん今後、金融資産をどのようにしていけばいいのか。まずフリップをお願いしたいと思います。

『みんなでデジタルに支える』と書きました。非常に重要な観点として、やはり認知症の方という表現がありましたけれども、認知症は、昔は割と限られたというか、少数の方が大変な思いをされるというものだったと思うんですけど、今やこれは結構、生理現象に近くて、95歳以上の人口の方だとやっぱり半分以上の方が、実際にはそういう状態になるのが当たり前になってきます。

100年時代ですので、多くの人たちが人生の最後のラストスパートの時には、そうするとお金が動かせなくなってしまったり、やっぱり超高齢期の社会ですと、例えば高齢の方が詐欺にあってしまったりとか、あるいはご自身が思うようにお金が使えなくなるっていう状況が発生するんですよね。

なので、私こういうふうに書いてますけれども、やはりお子さんと、もっといっぱい話をする必要があるというのは、もっと出てくる話題だと思いますし、やっぱり会話が丁寧に行われている家庭であれば、いずれ来るであろう例えば相続の話題とかも――正直、いきなり自分の親と相続の話題とかしたら縁起でもないとか、むしろ何か怪しいことにはまってるんじゃないかと思われちゃうと思うんですよね、でもナチュラルに少し何か気になるなってときに、会話ができる環境を作っておくこととか、いざとなったら相談ができる自治体であったり、医療機関とかに連携ができるようにするように、私たちも何か家計簿の延長線でそういうことができないかなと思っています。


――年配の方であったり認知症の方々、デジタルというのは少しちょっと難しいという印象を受けてしまうんですが。

高齢者の方にいきなりスマホどうぞとか、むしろ見守りをされてくださいっていうのは非常に難しいところがあります。そうじゃなくて、何かちょっと自分のケアをしなきゃいけないなと思った瞬間に、お医者様とか銀行の方を通じてそのお金から、例えば銀行口座から20万円いきなり引き出したら、お子さんにメールが行くとかですね、そういう連携のサービスを作っていくことが大事だと思います。その時デジタルである必要は、見守りはありますけど、本人はそれを使う必要はないのかなとも思っています。


――となると、この215兆円に達するという数字なんですが、今後、やはり家族の方に有効活用してもらいたいというふうに思いますよね。

やっぱり最後、孫の世代の教育費に使ってもらったりとか、それこそ日本経済全体で200兆円が――多分なんですけど相続まで寝てしまうお金になりますので、そうではなくて新しい起業家にその投資に向かうだとか、そういう社会の新陳代謝につながるような動きにつなげていけると、本当はいいのかなというふうに思っています。


――やはりこのデジタルで支えることによって新しい扉が開かれる。

おっしゃる通りで、今まで見守りって結構、気合でやることが多かったと思うんですよね。ただ周りの人に負担をかけない方法が、データのデジタルの世界だと可能だと思っていまして、そういう実験を弊社もやっていきたいと思っています。


■瀧俊雄氏プロフィル
マネーフォワードFintech研究所・所長。大学卒業後、野村証券に入社。野村資本市場研究所で家計行動などの研究に従事した。2012年からマネーフォワードの設立に参画。自動家計簿アプリや資産管理サービスを展開してきた。2015年、マネーフォワードFintech研究所の所長に就任。金融庁のフィンテックに関する有識者会議のメンバーなども務めている。金融業の高度化・効率化を促し消費者が金融をより身近に感じる仕組みを作ることを目指している。


【the SOCIAL opinionsより】