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新鮮素材を一度寝かせおいしさ追求 熟成魚

2019年11月7日 18:11

新鮮な魚をそのまま食べずに一度寝かせてよりおいしく熟成させる「熟成魚」がいま注目されている。48時間熟成させたマグロや、うま味を最大にさせた熟成マダイ。さらなる味を追い求める「熟成」の現場を取材した。

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千葉・船橋にある寿司店。新鮮な素材を一度寝かせてから握るという「熟成寿司」の専門店だ。熟成させたまぐろを見せてもらうと――

熟成寿司専門店「優雅」・蟹澤臣市さん「これで20日目ですね」

新鮮なものよりも色が濃くなっている。

蟹澤さん「(寝かせると)うま味がどんどん凝縮されて脂分が身の方に浸透していくような形で」

熟成させることでうま味が増し、食感も柔らかくなるので、食べたときにネタのうま味とシャリに一体感が出るという。

ただ、魚の種類や大きさで熟成期間が変わったり、熟成させすぎて腐らせないように、細心の注意を払って取り扱う必要があるなど、長年の技と経験が必要だという。

そんな中、「東京大学大学院」と大手回転寿司チェーンが、「熟成まぐろ」についての独自の研究結果を発表。

くら寿司・田中信取締役副社長「科学的な数値データをもとに、もっともおいしく熟成できる時間が48時間であると」

これまで、この寿司チェーンで提供していた「熟成マグロ」の熟成時間は36時間だった。ところが、そのまぐろを東京大学大学院で分析したところ、熟成させることで増えていくイノシン酸など「おいしさ」のもとになる成分が48時間熟成させたマグロの方が多かったため、今後は「熟成時間を48時間」にすると発表した。

実際にこの熟成マグロを食べてみると…「もちもちとしっとりとした食感で、味も濃く感じられる」

この熟成マグロ(極み 熟成まぐろ)の値段は一皿100円(税別)。

くら寿司・田中締役副社長「100円でよりおいしく、より安価に安全なものを提供するというのを追求した結果、この熟成マグロになっている」

一方、こちらは完全養殖の「近大マグロ」で有名な近畿大学の系列会社。今朝、いけすで捕まえた真鯛の加工作業が行われていた。この真鯛の切り身、このあと熟成させて冷凍される。

7日、「近畿大学」は、冷凍された熟成真鯛の切り身を一般販売することを発表。熟成されて最もおいしい状態で冷凍することで、「熟成真鯛」をいつでもどこでも同じ味で、手軽に味わえるという。こうした「熟成魚の冷凍商品」の大量生産は近畿大学によると、世界初だという。

近大の「熟成真鯛」は、今月15日からインターネットでの販売が始まり、値段は一セット1500円から(「鮮熟真鯛」1セット1500円~2000円・税別)。

魚のおいしさを追求した熟成魚。これからも広がりを見せそうだ。