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ロヒンギャ難民化2年…拭えぬ迫害の恐怖

2019年9月27日 5:35

仏教国ミャンマーで、少数派のイスラム教徒“ロヒンギャ”がミャンマー軍などに迫害を受けてきた問題。約70万人が隣国バングラデシュに逃れて2年、いまだ厳しい状況に置かれている。ロヒンギャの今を取材した。

◆“受け入れ態勢”は万全

ロヒンギャが多く暮らしていたミャンマー西部のラカイン州。立ち並ぶ住宅が見えてきた。入り口には日本の国旗が記されたプレートが。ここは、難民化したロヒンギャが帰還後に住む場所としてミャンマー政府が用意した住宅だ。

ミャンマー政府関係者「(Q:緑屋根の建物はいくつある?)50棟あります。(Q:日本の寄付で建てた)はい、日本の寄付です」

さらに服や生活用品も準備されていて、ミャンマー政府は、受け入れ態勢は万全だと話す。

◆帰還するロヒンギャほとんどなく…理由は“恐怖”

しかし、帰還するロヒンギャはほとんどいない。理由は、迫害への恐怖が拭えないからだ。国連などによると、2017年8月、軍などの掃討作戦で、大勢のロヒンギャが殺害された。

ミャンマー移民局次長「ロヒンギャには帰らない理由があるのだろうが、我々は常に受け入れの準備ができている。なぜならば、それが我々の国の政策だからだ」

先月、帰還に向けた2度目の試みが行われたが、失敗に終わっている。

◆支援団体代表が、日本に訴えたいこと

ミャンマーの隣国・タイにも、ふるさとを追われた大勢のロヒンギャが生活している。ここで、ロヒンギャを支援する団体の代表を務める男性に会うことができた。自身もロヒンギャというサイードアラムさん(50)だ。

サイードアラム代表「(ミャンマー政府には)未来に目を向け、ロヒンギャがミャンマーの中でどうすれば平和に共生できるか、探し出してほしい」

人口の9割が仏教徒のミャンマーでは、ロヒンギャは「国境を接するバングラデシュから来た不法移民」だとしてミャンマー国籍が与えられず、迫害を受けてきたとされている。

サイードアラムさんは、ミャンマーと経済的にも関係が深い日本に訴えたいことがあるという。

サイードアラム代表「ロヒンギャに国籍を与えるよう、日本からミャンマーに頼んでほしい。この問題について、両国で話しあってほしい」

過酷な環境にあるロヒンギャがふるさとへ帰れる日は、いまだに見通せない。