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金氏肝いり…北が化粧品開発に注力のワケ

2019年9月13日 5:10

厳しい経済制裁が続く北朝鮮が、いま「化粧品」の開発に力を注いでいるという。金正恩委員長が自ら工場を視察するほど熱を入れる、その理由とは何なのだろうか。

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先月、中国吉林省の長春で行われた国際展示会。北朝鮮の企業が集まる一画で、人だかりができていたのは、化粧品のブースだ。所狭しと並べられたのは、化粧水や乳液、保湿クリームなど北朝鮮製の化粧品。中には、高麗人参が1本丸ごと入った商品も。実際には何が良いのだろうか。

販売員「これは、毛穴を収縮させて、引き締める効果があります。脂っぽい男性の肌、ニキビがよくできる肌に使います。副作用はまったくありません」

誇らしげに品質の良さを語る販売員。多くの中国人が訪れ、商品を購入していた。

こうした北朝鮮の化粧品、使い心地はどうなのだろうか?

カメラの前で化粧をするのは、美容をテーマにした動画を配信する韓国のユーチューバー、カン・ナラさん。

カン・ナラさん「左半分が北朝鮮のメイクで、右半分が韓国のメイクよ」

彼女は、2014年に韓国へ亡命した「脱北者」。北朝鮮の化粧品は、改善されていると言う。

カン・ナラさん「北朝鮮のコスメは、昔と比べるとすごく良くなっているの」

実は、北朝鮮の化粧品と言えば、数年前には金正恩委員長が酷評するほどのものだった。なぜ、そこから品質をあげられたのか。担当者に聞くと─。

販売員「何度も元帥様(金正恩委員長)が現地指導されたあと、化粧品産業が最上の水準にまで引き上げられたのです」

北朝鮮の国営テレビでは、金委員長が化粧品工場を視察する様子を含め、化粧品にまつわる報道が去年1年で100回以上放送された。金委員長の肝いりで、国産の化粧品開発に力を注いでいた。

その理由のひとつが、「中間所得層の増加」だ。首都・平壌などでは比較的裕福な中間所得層が増え、健康や美容に関心が高まっている。

そこで、国産品の消費へとつなげ、経済の振興をはかる狙いがあるとみられる。

そしてもうひとつの理由が「外貨獲得」だ。化粧品の輸出は、経済制裁の対象外となっていて、なおかつ単価が高く、軽くて運びやすいと、北朝鮮にとってメリットが多いとみられる。

その狙い通りに、浸透するのだろうか。