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“少子化”生き残りをかけた改革…大学は今

2019年8月3日 18:45
“少子化”生き残りをかけた改革…大学は今

受験生の天王山とも呼ばれる夏。少子化の影響を受け、私立大学の状況は今後さらに厳しくなるとみられている。生き残りをかけて改革に挑む大学を取材した。

先月28日、大学入試の相談会が行われていた。会場を訪れたのは高校生など6300人以上。

高校1年生「AO入試は何をすればいいのか…」

受験生だけでなく、大学にとっても人材獲得の重要な機会。昨年度、定員割れの私立大学は36.1%に上った。2040年度には、大学に進学する人の数が2017年度から2割近く減ると文部科学省は推計していて、受験生の獲得競争は今後、厳しさを増すとみられる。こうした状況に有名私立大学でも、危機感を持っているという。

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青山学院大学は今年の春、「コミュニティ人間科学部」を開設した。

安斎聡子准教授「(文化の)光と影の部分も最後に見ておこうかなと思います。ひとつは『観光公害』の話です」

この日の授業は、行きすぎた文化資源の活用が地域社会にもたらすマイナス面について。

大学1年「石垣島に住んでいたんですけど、観光客が増えて、(海にも)ゴミがけっこう落ちていたりして…」

この学部では、地域の活性化や課題の解決に取り組む人材の育成を目指している。新たな学部開設の背景について学長は…。

青山学院大学・三木義一学長「少子化を見て、大学として今までの水準を保っていけるかどうか、非常に大きな危機感を持っているわけです。首都圏の大学だって何もしなかったら学生たちからそっぽを向かれます。常に社会の動きを見ながら学部構成を考えていかなければいけないだろうなと思っています」

私立大学にはこれまでにない「改革」が求められている。

日本私立大学連盟・鎌田薫前会長「新しい時代に即応した大学に変わっていかなければいけないということが、強く求められていると思います。(私立大学の)たぶん4割くらいが定員割れといわれているが、特に地方(私大)が厳しい状況にあることは間違いない」

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都心から電車で約2時間。群馬県に開学翌年には定員割れだったものの、その後、受験生を増やしてきた共愛学園前橋国際大学がある。魅力はどこにあるのだろうか。授業を見せてもらうと…。

教授「どういう所に頼んだら実現しやすいだろうかっていう視点で企業を選ばないと(ダメ)」

大学2年「(商品を)作っていくんだったら多少は広がりとかができるような企業じゃないと何も意味がない」

活発に交わされる議論。この授業では、学生が地元の企業などと商品開発を行う。こちらの大学の強みは、地域と一体となった教育。企業選びから交渉まで学生が行うことで地域との距離が近くなり、力もつくという。

大学2年「東京に多少あこがれとかあったんですけど、この大学が新しいことに取り組んでいる所に魅力を感じて(入学した)」

さらに、授業の空き時間に学内の業務を手伝うと授業料の半額が給付される奨学金制度など、さまざまな独自の支援策も。地方大学だからこそ求められる取り組みや教育が評価につながったという。

共愛学園前橋国際大学・大森昭生学長「(地方大学の)自分たちにしかできない教育は何なのか。東京に行けばできることではなく、地域の皆さんと一緒だからできることっていうのは何なのか考えぬいて成長していくことをしないと、地方大学の存在意義はなくなります」

厳しい競争にさらされる私立大学。それぞれの特性や役割に応じた改革が求められている。