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暗号資産「リブラ」識者はどう見ているか?

2019年7月30日 13:58
暗号資産「リブラ」識者はどう見ているか?

世の中で議論を呼んでいる話題についてゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「暗号資産、リブラどうなる?」。幻冬舎「あたらしい経済」記者・編集者の竹田匡宏氏に聞いた。

G7(主要7か国)の財務相・中央銀行総裁会議は今月18日、フェイスブックが計画する暗号資産「リブラ」について、「最高水準の規制を満たす必要がある」との認識で一致した。「リブラ」をめぐっては、資金洗浄(マネーロンダリング)に、悪用されるおそれなどが指摘されている。

また、個人情報保護などの点で問題があるとして、10月までにG7の作業部会でデジタル通貨の規制などについて最終報告をまとめる方針。リブラについて、ネット上では「国家主権を脅かす問題」「投資家たちの絶好のおもちゃ」「ただ規制するのは、既得権を守るだけ」などの声があがっている。


――リブラに関して色々な懸念の声が上がっていますがいかがでしょう。フリップをお願いします。

『24億人の共通通貨』と書きました。24億人という数字は、フェイスブックの現状のユーザー数です。今回の設計としては、この24億人の人がメッセージツールを介してリブラを使えるようになるということです。面白いところとしては、24億人が同じ通貨を持っていた時代があったのかという部分で、共通の通貨というものが今までできていなかった、だからこそこの通貨に対して、どう対応したらいいのかというのを国自体が悩んでいるというのが現状かなと思います。


――国をまたいで、みんなで飲み会をやっている時に、例えば「1人3000円払って下さい」という場面があったとして、その際にそれぞれで振り込めるわけですね。

そうですね、メッセンジャーさえ使っていれば振り込めるという部分で、僕自身、将来的に面白くなるところは2つあるのかなと思っています。まず1つ目は、国際送金の部分で安くなるということ、そこに準じて2つ目の話ですが、今後、日本はグローバル化せざるをえないわけです。労働人口も減少していますし、その部分で海外の人たちが日本で働くというのが世の中として当たり前になると思います。その時に、海外の人が来て、家は実際に海外にあった場合、そこに送金することがなかなかできないという部分があります。そこにもちゃんと為替レートを飛ばして、ちゃんと送れるというのはすごくいい流れなのかなと思います。


――ただ一方で問題点もあると、どんな部分でしょう。

やっぱりフェイスブックの信用性というのがひとつあるのかなと思います。データの流出問題がアメリカでもありましたし、そこの部分に関して、金融情報まで持って大丈夫なのかというのが全世界で問題視されている共通点かなと思います。フェイスブックの言い分としては、世界の金融規制は国によって違うんですが、だからこそ、デビッド・マーカスさんは、規制に対して、それぞれの規制が認められるまではリブラはローンチしませんと言っているところではあります。


――これだけ多くの人たちの期待もある中で、なかなか進まない。やはり理解が足りていない部分もあるのでしょうか。

そこは本当に必要かなと思っています。「仮想通貨はよくわからない」ということが一番大きいと思うので、そこを取っ払って、正しくどんなものかというのを建設的に知っていくということが重要なのかなと思います。


――竹田さんは、「あたらしい経済」を編集する側として、どういうことを訴えていきたいですか。

やっぱり、お金の部分に関しては「知っておいたほうが損しないよ」ということです。あと経済というのは人間の心理などに結びつくものなので、考えてみるとやはり面白いんですね。お金というのを軸にして、サラリーマンの働き方ひとつにしてもいろいろと変化していくので僕自身も面白いと感じています。


――これから私たちも考え方を変えていかないといけないわけですね。

そこに関してはメディア側もひとつ問題点があるのかなと思っています。やはりテクノロジーやブロックチェーン業界は難しいことが多いので、「これは面白いぞ」と説得している人が多いんですね。そうではなくて、相手がどういう情報を求めているのかというのをきちんと納得した形で伝えていくというのが、僕らメディア側の人間としては重要なことかなと思っています。


■竹田匡宏氏プロフィル
幻冬舎のWEBメディア「あたらしい経済」で取材・編集を担当。ビジネスパーソンに向け、ブロックチェーンや暗号資産、シェアリングエコノミーなど新たな経済モデルを紹介。そこでの稼ぎ方や未来を切り開く人々のエピソードを伝えている。中学時代からネットを活用し、暗号資産の取引を通じ、「お金」の本当の価値について興味を持ったという。自身のブログ「たっけのメモ」でも、これからの時代の生き方を発信している。


【the SOCIAL opinionsより】