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キャンベル氏に聞く“若者×選挙” 2

2019年7月19日 18:31
キャンベル氏に聞く“若者×選挙” 2

この夏の参議院議員選挙を控え「the SOCIAL」では、「若者が投票に参加する意義について」ロバート・キャンベル氏に聞いた。


Q:国際的な関わりの話がありましたが、アメリカ出身のキャンベルさんから見て日本の政治体制が変わると、日本に住む外国の方の環境については、どういったことが変わっていくと思いますか?またどのような変化・改善を望みますか?

キャンベル氏:僕はまずアメリカの国籍を持っているわけです。ということは、日本は二重国籍を認めない国家ですので日本では投票はできません。私はそれを良しとしています。私の選択でアメリカの国籍を持ち続けていて、それを破棄するために日本の国籍を取得するという申請をすることはできると思うんですけれども、何かを破棄をしてもう一つを得るということは、私は今のところ個人的に疑問を持っているので、アメリカの選挙には国政選挙もそれから州の選挙もそれから市長選挙にもすべて不在投票しているんですね。だから私の政治との関わりということは、私はまず国籍ということがもうそこで規定されているわけで、その中で自分はできるだけアメリカの政治に関わるということがやがては日本にも関わってくる、日本にはそれはもう還元してくる、ある意味影響してくるということだと思うんですね。

じゃあこれから外国人の滞在者、あるいは働いて長く日本と付き合っていく人たちにとって暮らす国になっていく、外国人がこれからさらに増えるということは間違いないわけですね。

その人たちの意見や意向などをどういうふうに社会の中にプラスに、それを力としてどう取り込めばいいかということは本当にこれから検討されるべきことだと思うんですね。まずその人達の教育とか医療とか言葉をどうするかとか、基本的なことはこれからつめないといけないところだけれども、僕は日本に来て30年以上経っているわけで、それなりに日本の社会に自分の小さな力がどういうふうに働きかけることができるのか、受け皿がどこにあるかということは見えているんですね。

でも彼や彼女たちが10代20代を経て、4年5年10年くらいいるとどういうふうに自分の存在がこの周りの社会に影響しているのか、良い影響をどういう風に与えているかということを感じることによって当事者になる。それはみんなにとって幸せっていうのは、僕は足し算だと思うんですね。ある人が幸せになることによって誰かの幸せがそこから引かれるんじゃなくて、システムとしてそこは足されていく、累積していく、あるいは相乗的にそれが増えていくというそういう意味で他者との付き合い方、他者を取り入れなければならない。もちろんルールを知ってもらわないといけないけれども、どういう風にそれを足腰の強い、素敵な日本の社会としてつくっていく。その時にやっぱりそれは政治に関わっていく入り口であったり踊り場であったり、そういう場を作らないといけないだろうなとは思います。

私は国籍と投票権がつながっているということには異存はないです。私はそのままでいいと思うんです。国籍の異なる人が、別の文化の国で投票するということや投票権を持つということに私は消極的なんです。そうではない人たちも外国人でたくさんいますが。私自身はいいと思うんですけれども、一つは二重国籍を持つということですね。

ちょっと細かい話に聞こえるかもしれませんが、二重国籍を認める国はとても多いんですね。日本人で海外に行って活動をしている人達がたくさんいるわけで、僕の友達でスイスとかフランスに行って10年20年働いて、でもやっぱりその国の国籍を取らないと公的資金を得て起業することは難しかったり家族と同じ立場に立つことが難しかったり、その社会の中でフルに自分の力を発揮することは困難であるという。

本当はその人達は日本人なので、日本国籍は捨てたくないっていう板挟みになっている人たちもいますし、僕も二重国籍があればもう明日にでも法務省に行って日本国籍の申請をしますよ。それは特に二重国籍を認めている国は19世紀においては帝国、つまり植民地がたくさんあったり、それが20世紀に全部バラバラになったときに旧植民地住人をどういうふうにその社会の中に取り入れるか、独立をしていくわけですから二重国籍を認めないといけないフランスだったりイギリスだったり、それがロシアもアメリカもそうなんですね。

僕はそれが一つの考え方だというふうに思うのですが、日本の中に暮らしていて私たちは二重国籍のことを考えている人たちはほとんどいないと思うんですけれども、これは実はこれからの社会、今世紀の社会の日本を強くしていくことの一つの手立てとしてやっぱり議論する時期が来ているんじゃないかなというふうに思うんですね。

二重国籍を置いておいて、これから入ってくる外国人は言葉の能力とか、その人の技術・技能の能力とか、年収も当然違うでしょうし、入ってくる国によって文化的な背景が全然違うので、多分これは一概にはできないと思うんですね。基本的な人権であるとか社会参画の機会ということを保証しないといけないけれども、もう一つやっぱりそれぞれの違いや個性として、一括して外国人にどうするか、外国人問題に頭を抱えるんじゃなくて、もう少し細やかにいろんな人が入ってくるからその人たちのニーズは何かということをまず把握することは重要だと思うんです。

そういう意味ではメディアは非常に大きな力、大きな責任が僕はあると思うんです。政治家はこれはやらないから、メディアが実際に動いている人たちの現場がどういうものなのか、どこに問題があるのか、こういう制度が矛盾しているんじゃないかということをまず指をさして明かりをあてる。それができるのもメディアだと思うので大事なことだと思います。