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G20で最下位…進むか?女性の政治進出

2019年7月19日 16:07
G20で最下位…進むか?女性の政治進出

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「進むか?女性の政治進出」。NPO法人ドットジェイピー・理事長の佐藤大吾氏に聞いた。

21日に投開票が行われる今回の参議院選挙は、議会選挙の候補者をできる限り男女同数にするよう政党に求める「候補者男女均等法」ができて初の国政選挙となる。今回、立候補した女性は、計104人と全体の28・1%を占め、過去最高になった。

しかしながら、国際機関の調査によると、国会議員に占める女性の割合は、世界193か国中、日本は163位とG20でも最下位となっている。


――佐藤さん、女性の政治進出かなり遅れている状況ですが、そもそもなぜ女性の候補者が少ないんでしょうか。

女性の政治進出の遅れと、若者が政治にかかわらないという問題は、背景が似ているなという気もしています。例えば、大きな政党であれば、まず公認候補になるのが重要になるわけですが、すでにたくさんの男性候補者が公認をもらっていて、空き枠がないというのが現実的にもあると思うんですね。

そこに加えて、世の中からの目が女性に対して厳しいものがあると感じていて、例えば議員になった後に、育休をとれるかどうかや、以前にも話題になった託児所の問題とか、いろいろと女性ならではの環境が整ってないような問題とか、世間の意見というものをとても気にするところはあると思います。それで、女性が出たいのに自粛するとか、周りから何か言われて、説得されてとどまってしまうことが、実際に起きているように感じます。


――インターンシップも運営されていますが女子大学生の参加はどうですか。

実は、議員の事務所でインターンをしたいという女性は男性より多いんですね。10年以上前からずっと女性のほうが、55%~60%ぐらいは多くて、実際の政治の現場で勉強している人は多いんですね。ただ、それが必ずしも立候補につながっていないというのは少し残念な気がします。


――ただ学生のころから、そういった関心は女性もかなり高くなっているということですよね。制度の面ではどうでしょう。

参議院では30歳から立候補、衆議院では25歳立候補が可能になるわけですが、多くの候補者の場合、立候補直前はどこかの企業に勤めている場合が多いんです。立候補しようとすると退職をして、背水の陣…片道切符でチャレンジしないといけないと。万が一のことがあった時に、いつでも会社に戻っておいでと言えるような休職の制度とかがあれば、もうちょっと立候補に対するハードルも下がるんじゃないかなという気がします。


――政治の世界は今後こうなってほしいという意見はありますか。

今回の女性の政治進出の問題もありましたけど、『議会は“有権者の縮図”』になってほしいと、一有権者として思っています。まず男女だけのことを申し上げますと、一般の有権者は1:1の比率で存在しています。でも議会の中で見ると、女性というのは大変少ない割合になっていて、やはりそこはバランスが悪い。年齢にしても有権者には20代、30代、40代のように世代別に何%ずつかあるわけですが、議会を見た場合は、必ずしもその縮図になっていないので、そこのバランスをもうちょっと調整できればなと有権者として望みます。


――そのためにはどんなことが必要で、そして、若者にはどんなメッセージを送りますか。

さきほどのVTRで箕輪厚介さんが言っていたように、自分の生活とそれによって政治がどう影響しているのか、政治が変われば自分の大学の授業料が上がるとか下がるとか、医療費が上がるとか下がるとか、そういったことを身近に感じるようなきっかけがあれば、若い人も女性の人たちももっと積極的に関与する人が増えていくんじゃないかという気がします。周りもぜひ温かい目で見て欲しいなと思いますね。


■佐藤大吾氏プロフィル
佐藤氏が立ち上げた、NPO法人ドットジェイピーは、議員事務所や官公庁などでのインターンシッププログラムを運営して、今年で設立21年目になる。これまでに1万1000を超える議員事務所をはじめ、大使館やNPOなどのインターンシッププログラムに、約3万人に及ぶ学生が参加した。そのうち100人以上が、議員となって活躍している。インターンシップ事業を通し、若者の社会に対する関心を高め、選挙の投票率向上を目指している。

【the SOCIAL opinionsより】