×

各地で相次ぐ夏休み“前倒し” 親たちは…

2019年7月12日 18:37
各地で相次ぐ夏休み“前倒し” 親たちは…

この夏は全国で夏休みを前倒しにする小中学校が増えている。そのうちの一つ、千葉市では、公立の小中学校のほぼ全てが、なんと、13日から夏休み。子どもたちは、休みが増えて大喜びだが、親たちは、ちょっと複雑な思いもあるようだ。

   ◇

12日、千葉市の小学校を訪れた。(千葉市立真砂第五小学校)

先生「(あしたからは)何ですか?」

「なつやすみ~!」

先生「楽しみな人?」

「はい!」

夏休み前、最後の授業が行われていた。そして、午後2時半になると楽しそうに帰宅していった。

「さようなら!」

実は、この小学校では、1週間“夏休みを前倒し”。早くも13日から夏休みが始まる。

愛知県の瀬戸市でも、例年7月20日ごろの予定が、今年は13日から夏休みに入る。(瀬戸市立陶原小学校の夏休み 例年:7月20日頃~8月末 今年:7月13日~8月25日)

   ◇

「夏休み前倒し」についてネットでは、こんな声が上がっている。

「夏休み長すぎでしょ」「13日からだって、うらやましすぎる」「親にとっても長い夏休みになりそう」

   ◇

夏休みの前倒しについて親に聞いてみると、負担を感じるという声が聞かれた。

小学生の親「暑い教室の中での授業もなかなか無理があるのかな」

小・中学生の親「(夏休み)長いなと思いました。早いなと思いました。私は仕事をしているので、平日、毎日お弁当作らなきゃなって」

小学生の親「(1週間早い分)子どもたちを実家に預けたりとかして、負担をかけなきゃいけないっていう心配はあるので」

   ◇

なぜ、今年は夏休みの前倒しが相次いでいるのだろうか。

瀬戸市立陶原小学校・野田敬資校長「熱中症対策というところが大きいです。エアコン設置工事を1日でも早くするために(夏休みを)1週間前倒しにするという意味はあると思います」

理由はエアコンの設置工事。

文部科学省は、去年、愛知県でおきた熱中症の死亡事故をうけて、エアコン設置が間に合わない学校は“夏休みの前倒し”を検討するよう通知を出した。

エアコン設置率が9.6パーセントにとどまっている千葉市。千葉市立真砂第五小学校もエアコンは未設置で、今年度中に6学年全てのクラスに設置する予定だ。

Q.エアコンあったらいいなって思う?

5年生「思う、思う、思う!」

Q.これは?

5年生「扇子。暑さ対策のために持ってきました」

エアコンがないため、学校では扇子やうちわを持ってくることを許可している。

さらに今年から、体育館などに熱中症の危険度を示す計測器を設置。子どもたちの体調をみて体育の授業を行うかを決めていた。

エアコンを設置するため夏休みを前倒しすることについて校長に聞いた。

真砂第五小学校・酒井隆夫校長「夏休みの前倒しについては(保護者から)良い評価をいただいていますが、夏休みが長くなった分、子どもたちの家庭での教育、夏休みの過ごし方等については『どうしようか』という声も聞いています」

   ◇

夏休みの前倒しに困惑しているのは親だけではない。放課後に児童を受け入れている学童保育でも対応に追われていた。

千葉市こども未来部健全育成課・鎌野繁課長「7月中の夏休みの日数が長くなりますので、7月中の働き手がなかなか見つからないという苦労がある」

夏休み期間中、指導員の補助として大学生アルバイトを雇用している。しかし、今年は夏休みが長くなる分、まだ人数が半分ほどしかそろわず、指導員の勤務時間を調整するなどして対応していくという。

   ◇

夏休みの前倒しの理由となっている学校のエアコンについて専門家は、次のように指摘する。

名古屋大学・内田良准教授「教室の中が(気温)37~38℃になっていますので、これでは全く勉強できない状況ですよね。そういう意味では、学習環境を整えるという意味で、エアコンの設置は必須かなと」

千葉市では、今年度中に全ての学校に設置できないため、来年も夏休みの前倒しをするという。