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「読書バリアフリー法」視覚障害者の光に?

2019年7月2日 13:42
「読書バリアフリー法」視覚障害者の光に?

世の中で議論を呼んでいる話題について、ゲストに意見を聞く「opinions」。今回の話題は「読書バリアフリー法、成立・施行」。視覚障害者柔道の選手として活動しながら、障害者の雇用や社会進出を促す活動を行っている初瀬勇輔氏に聞いた。

「読書バリアフリー法」は、視覚障害や発達障害のある人など多様な障害によって、本を読むのが困難な人が、読書しやすい環境を整えるもので、先月、国会で成立し、施行された。点字書籍や、音声読み上げ対応の書籍などの普及を国や自治体の責務と定めている。

ネット上では「読みたいときに読めることが大事」「たくさん本を読んで、知識の幅広げたい」「法を生かせるかどうかが課題」などの声が聞かれた。


――フリップをお願いします。

『本は聴くもの』と書きました。僕自身も目が悪くなった時に、本を読むのを諦めたんですけど、点字図書館に行くと、音声で聴ける図書があるということで、本を読むようになりました。実際に今も、年間150~200冊の本を耳で聴いて、読んでいます。

今回のバリアフリー法の成立によって――きっと僕らは今まで、読みたい本が読める状況じゃなかったんですね。ボランティアの人が読んで提供していることが多くて、年間1万~2万タイトルほどが音声化されていて――それでも膨大な数字だと思うんですけど、いま出版されている本の全てが、音声に対応するようになると、僕らは「本を選ぶ自由が得られる」と思っています。

さらに今までは楽しむための読書については、「小説を聴く」とかあったんですが、勉強するとか学ぶとか、成長させるような本というのは手に入りにくかったんです。そういう意味でも、これから社会で活躍する障害のある人たちが増えるんじゃないかと思います。


――何かを学ぶ本、例えば数式などは音声化が難しそうですね。

そうですね、あとは資格取得に対しての問題集とかありますね。そういったものが全て対応されていくと、視覚障害を含めた、いろんな障害のある人が活躍できる社会が生まれる第一歩になるのではと思っています。


――(障害のある人を取り巻く)環境や時代というのは、ここ数年で変わりましたか?

変わりましたね。やはりデバイスの発達もありますし、こういった法律の制定もあります。これから障害のある人がどんどん活躍できて、障害のある人だけではなくて、全ての人が活躍できる社会が生まれるんじゃないかと思っています。


■初瀬勇輔氏プロフィル
スタイル・エッジMEDICAL代表。視覚障害者柔道の選手として活動しながら、障害者の雇用や社会進出を促す活動を行っている。大学2年生の時に緑内障で視覚障害となり「自分だけが取り残される」という不安の中、「パラ柔道」との出会いが転機に。全日本大会で9連覇し、北京パラリンピック出場も果たした。現在は、障害者と企業をつなぐサービスを行うほか、産業医などと連携し、企業の健康経営のサポートもしている。また来年の東京パラリンピック出場を目指し、日々、練習に励みパラスポーツの普及にも取り組んでいる。


【the SOCIAL opinionsより】